2013年3月20日水曜日
夫と妻と犬と私 ②
緊急事態だ!
ガルミッシュのおばあちゃんは腸閉塞になった。普通ならとっくに救急入院している
ところだ、が、おばあちゃんは西洋医療の病院に入院するのをかたくなに拒み
息子のパーシー(仮名)の運転でうちの病院にやって来た。
レントゲンだけ撮ってもらって、それを携えて来た。ものすごくおなかが痛むようで
とても辛そう。もともとテキパキした人だから次々に私たちに指示を出す(え?)。
毛布も持参。(うちの病院のは気に入らないんだって。)もう1週間以上お通じが
ないらしい。
うちで出来る最善の処置をした。先生もすぐにお薬を出してその場で煎じた。
お灸もダブルでやった。指圧は最初は先生が私に手取り足取り教えながら
二人で一緒にやって私が要領を飲み込んだところで任された。他の患者さんも
次々にやって来たが基本的に彼女の処置が最優先だ。普段はとっても優しくて
人がいいおばあちゃんなのだが、もう、まさしく命がけって感じで
一つ一つの処置に文句を付け、先生と議論していた。
元気だなあ、タフだなあ、って思う。すごいバイタリティー。日本の病院で
こんなことあるのかなあ?ドクターと大議論したり治療のあれこれに要望を
ごまんとつけたり。
とはいえ、いつもは話し好きのおばあちゃんもさすがに無駄口をたたく気力はなかったらしくそれ以外の時間はぐったりしていた。こうしておばあちゃんは2週間毎日朝7時に
病院へやって来た。ということは、私は5時起きだ。こっちもぐったり。
3日目だったろうか、おばあちゃんの具合はほんの少し良くなって来た。
そして私に語り始めたのだ。今回の病気の「本当の原因」を。
『ねえ、聞いてくれる?私って普段からこんなに健康に気をつけてる人でしょう。
この私がこんな病気になるわけないのよ。これはね、心因性なの。』
「心因性疾患(プシヒョソマート)」という単語をやたらと強調しながら言った。
『今ね、私のうちに別れた元の夫が泊まりに来てるのよ。』
はは〜ん、それか。続きは明日のお楽しみ。
(つづく)
ガルミッシュ名物 スキージャンプ台
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