東京にある「ハーネマンアカデミー」の学長永松昌泰先生の講義を
(テープで)聴いていた時、ある、とても大切な概念に出逢った事がある。
アンコンディショナル ウォーム (unconditional warm)
という言葉だ。永松先生の授業はどの一瞬をとっても含蓄深く心に沁み入る
名講義なのだがこの言葉は特に忘れがたい。
つまり、ホメオパスというもの(セラピストというもの)あまねく患者の
状態や状況に左右されてはいけない。どんな患者が現れてもどんな話を聞いても
患者の精神状態に移入してしまったり患者を、裁判官が被告にするように
「裁いて」しまってはいけない、と言う事だ。
永松先生のブログ
http://www.hahnemann-academy.com/blog/
このアンコンディショナル ウォームと言う言葉は実はホメオパスだけではなく
全ての医療従事者、ひいては人生のあらゆる場において真理となる態度なのだと
いう事を後に知った。人はすぐに他人を裁いてしまうから。言葉や態度に出さなく ても頭の中ですぐに善悪の判断を下してしまうから。
特に、誰かが誰かを治したい、癒したいと思う時には患者の「人生」は情報と
してきわめて重要であるが、それをそれとしてありのままに見ないで、常識や主観 に捕われてしまうと判断を誤る。治療家の患者に対する態度というのはきわめて
微妙でかつ厳しいものなのだ。
職場にいるときの私は極力努力している。吉岡綾子という「個」とセラピストと してのフラウ ヨシオカをいつでも幽体離脱させられるように。
そして今回、ガルミッシュのおばあちゃんとその元夫の治療にあたっては
その「技(わざ)」ひとつに全ての勝敗がかかっていたのではないかと
思えるほどだった。
(つづく)
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