2013年5月16日木曜日

南の島から来た彼女  25

 


               ホーノルさんが南の島へ帰る日が近づいていた。



 ところで彼女の病気はどうなったんだろう?始めて会った時からものすごく
元気でパワフルな人だったから何だかうちに何しに来てたんだかって感じだったけど
無事、高血圧症、頭痛、ともに完治。やった〜!まあ、高血圧は何かのきっかけで
すぐに戻ってきちゃったるするから予後を大切になさってくださいね。


 ドイツ語の本もなかなか読まなくなっちゃったわね、なんて言うから今まで読んだ本で
印象深かったお奨めの本なんてありますか?って聞いたら懐かしいタイトルを彼女は口にした。正確には彼女はタイトルは覚えていなくて内容だけかいつまんで私に話して聞かせてくれたのだ。残念ながら日本語訳は出版されていない。その本は抱腹絶倒のベストセラーで地元ミュンヒェンっ子なら一度は読んでみたいタイムスリップ•ロマン。


 実は私がミュンヒェン大学に留学生として滞在していた頃大流行りしていたのだが
とうとう店頭で買うことなく帰国してしまったのだった。うわあ、今こそ是非読んで
みたいです。題名、思い出してくださいよ。そしたらホーノルさん、今、すぐには
思い出せないけど次ぎに伺う時までに必ず思い出すと思うわっと言ってらした。


 その二日後、病院の受付に「吉岡さんへ」とカードを添えて一冊の本が置いてあった。





「過去の中国への手紙」


そう、題名は「過去の中国への手紙」。なんだ、今の私にぴったりなタイトル?
これは古代のある中国人がタイムマシンを発明して3ヶ月ミュンヒェンに滞在するという
小説。千年以上前の中国人の目から見たミュンヒェンの町並み、文化、生活が新鮮な視点で語られている。ミュンヒェンと言う発音をミン(明?)ヘンと解釈し、オクトーバー
フェストやオペラ座、ピナコテーク美術館など見どころ満載で楽しい楽しい一冊だ。
すぐに読了しました。


 タイトルを教えてもらえればそれで良かったのに。ありがとう、ホーノルさん。


(つづく)




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