ここのところ同業者の新患さんが多い。
先生『はい、吉岡さん。今日の新患さん、指圧お願いね。彼は30年ミュンヒェンで
自然療法家をやってらっしゃるんだよ。』
げげ、さりげなくプレッシャーを与えられる。カルテを覗いてふむふむと病状を頭に
叩き込み、だいたいの手順をイメージしてから治療室に向かう。同業者だと医療知識の
面でも治療のハウツーにも厳しく追及されるから緊張するんだあ。腰痛かあ。この人。
私 『自然療法家でいらっしゃるそうですね。鍼は初めてですか?』
患者さん『いや、私自身も自分の患者さんに鍼を打つ事はあります。(ぎゃ〜!!
プレッシャー!!)今回は自分が腰痛なので注射を打とうにも鍼を打とうにも
自分ではなんともできなくってね。もう、半年以上も酷い腰痛が治らなくて
医者やら自然治療家やら同業者の間を10件以上回っているんだけれど
まるきり良くならないんです。
ここはなんだかとってもいい雰囲気ですね。病院って感じじゃあなくって
ドクターも自宅に客を迎えるように患者と接してくれて。なんだか、今度こそ
って期待してますよ。よろしくお願いしますね。』
私 『あの、ところでどうやってうちの病院を御知りになったのですか?
インターネットのホームページとかですか?』
患者さん『昨日、ミュンヒェン市の春祭りの蚤の市に友人と行ったんですよ。で、
歩きながら腰痛が治らないって話を友人にしてたらね、突然背後から
「その腰痛、私が治してあげよう」って声がしたんです。それがこちらの
先生だったんです。』
おいおいおい!そんなとこで営業してんのか、ドクター。それでうちの先生に名刺
渡されて、早速昨日の今日でやって来たって訳?
私 『(だまされてるとは思わなかったんですか?って言いたい気持ちをぐっと
こらえて)それでは先生の評判を御聞きになったとか言う訳ではなくて
いらっしゃったんですか。ええ、うちのドクターは経験豊富で古典にも
通暁してらっしゃるオリジナル中医学の名医ですからね。良い選択をなさい
ましたよ。(あはは、汗かいてるよ。)』
患者さん『ええ、私もここに来てあらためてそう思っています。昨日、ドクターに
声をかけられた時「これぞまさしく運命だ!神に救われたぞ!」という気が
したんです。』
そう、人はそれを「運命」だと捉える。私たちは「ご縁」って言葉を良く使うけどね。治ればいいんだ。終わり良ければすべて良し。
しかし、すごいもんだ、中国人の商売パワー。
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