2013年5月3日金曜日

南の島から来た彼女  ⑭



 今、あのときの研修の一日を振り返っても、まあなんという無駄な一日を過ごしてしまった事だろうと思わざるを得ない。


 2回、大きな中断があった。それで午前中の予定が結局丸一日かかってしまった。
家族が怒っても仕方ない。そもそもドクターはなるべく早く終わらせたかったので
朝の早い時間に始めたかったのだがリードさんが「土曜日は朝寝坊をしたい(!)」の
一言で10時開始。信じがたい事に、「こうしたら途中で昼食休憩をはさめるから。」
だって。もちろんうちの病院にごちになるつもり。私はドイツで今まで色んな講習会を
受けてきたけど講師が生徒に昼食をごちそうになるなんて(はっきり最初からそれを狙うなんて)ただの一度も無かったよ。必ず各自払いで外に食べにいく。
先生の奥さんは週末に病院を開けるときは料理はなさらない。(中華の)店屋物を取る。
どういう了見だ!?


 最初の中断はとんでもないことがきっかけだった。
先生の奥様が受付応対および電話応対のトレーニングに上手くついていけなかった。
何と言っても全部ドイツ語。スマイル。丁寧な抑揚、丁寧な物腰、そして正しい
ドイツ語。奥様は元々学者肌で(北京大学の薬学博士だ)商売っぽい人ではない。
その割に意外と社交的で、発音は良いと言えないけれどものすごくぺらぺらしゃべれる。
リードさんはその彼女にダメだしを出し続け否定し続けとうとう終いには泣かせて
しまった。



(つづく)




              コスタリカ島の夕焼け




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