2014年6月24日火曜日

ピアニストとしての本懐

              


       テイッシュを握りしめ目と鼻を真っ赤にしたその少女は突然息子の
    元へ走り寄りこう言った。




               『ねえ、あなたの演奏、本当に凄かったわ。ヒック! まだ全然涙が
      止まらないの。ヒック! 本当に本当に感激した。
      一体どうやったらあんな風に弾けるの?私、音楽を聴いて涙を流す
      なんて生まれて初めてなのよ。』




                とても綺麗な女の子だ。こんな可愛い娘を泣かせるなんて、
     どんなシチュエーションだああ!




                案の定息子はどうしたらよいか判らず固まっている。



                『ピアノ、誰に習ってるの?どこで?どうやったらあなたみたいな
      演奏が出来るの?』




               アユミ(ピアニストの方についてるのよ、と綾ちゃんフォローを入れる)、
   ミュンヘン(父親も音楽を専攻していたからこの子が小さいころは練習みて
   あげてたし)、・ ・ ・。
   (あとは話が続かない、綾ちゃんもフォローしようがない。)  
   あなたも頑張ってね。




            結果から言えば今回は3位だったので威張れたものではなかったけれど
   (準備不足だったしね)一人でもファンが出来た。これぞ音楽家冥利に尽きる。




            うちの子はあと2年で高校卒業。ピアノソロでコンクールに出るのはこれが
    最期。良い思い出になったかな?

                    母としては感慨深いです。
        


会場となったWolfsbüttelという街も古くて趣のある
ところだった。広場の教会



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