2013年6月21日金曜日

プロフェッサーの友情  ⑤




私     『プロフェッサー、お時間です。鍼を抜きますね。先ほどお尋ねの
      日本人のピアニストですが彼の著書は「弟子から見たショパン」
      「ドビュッシー〜自然からの霊感」二冊で間違いないですか?』


 私は鍼を抜きながらこともなげにそう聞いた。



プロフェッサー『そう、そう、それだよ、まさにその題名でどんぴしゃりだ。
       ええ〜?私が鍼を打たれている間、こんなわずかな間に調べて
       くれたんですか?』



 えへへ。プロフェッサーさん、ネット検索なんてものの数分あれば出来てしまうの
ですよ。ピアニストなんて公人に等しいしね。著作まであるならあっという間さ。



私      『Kという方はコンサートピアニストとしてよりも大学教授として名前の
       知られた方のようですよ。彼は武蔵野ではなく東京の別の大学のご出身
       でした。後に母校の教授におなりになったようです。最近退官なさって        現在の肩書きは名誉教授でいらっしゃいます。実はその大学は私の          主人の出身校でもあるんですよ。』


プロフェッサー『その大学なら私も良く知っています。私の日本人の弟子たちの多くが
       そこの出身ですからね。そこから来た留学生たちは皆一様に真面目で
       どの子も優秀でしたよ。大学名が長いから略してG.と言うんですよね。』



 なんだ、それならもしかして今までそのKっていう先生のお弟子さんを教えた事だって
あったんじゃないの?または彼らに聞けばきっと一発でわかったろうし。



 さて、これでプロフェッサーの人探し、確実に一歩進んだね。だけど大切なのは
このあと。Kさん、どこの誰かはわかった。プロフェッサー、次の一歩を踏み出しますか?




                             
             ドビュッシーのアラベスク
             ギーゼキングの演奏です。



0 件のコメント:

コメントを投稿