2013年6月30日日曜日
ドクターの負傷 ②
『まあまあ、吉岡さん、そんなに大した事じゃあないから。』
ってどこが大した事じゃあないんだあっ!全然一人で歩けないじゃあないの!
ドクターは奥さんに背負われるというか引きずられるようにして受付まで来ると
(っていうか奥さん、力持ちだなあ)パソコンの前の椅子になだれ込むように座って
漢方の書籍のページを検索し始めた。ご自分用の漢方薬のレシピを考えているらしい。
普段ならご自分のお部屋の机でリアルの書籍を検討なさるんだけど、今日はそこまで
たどり着くのもしんんどいらしい。
私 『先生!一体どうなさったっていうんですか?』
先生『昨日ね、(現在中国から遊びにきている)従姉妹とツークシュピッツェ(ドイツ
最高峰。ミュンヒェンから1時間ほど。ケーブルカーで簡単に山頂まで行ける。)
に行ってきたんです。山頂に小さな散歩コースがあって、うちの奥さんと従姉妹が
買い物してる間にそこを散策していたら足をやられてね。不覚にも普通の
運動靴で出かけてしまって(観光だから)登山靴を履いてなかったんだ。地面が
湿っていたんで靴が濡れて凍ってしまいその重さで足をひねった瞬間腱を
損傷してしまったみたいでね。』
昨晩女二人に抱えられるようにして帰宅してとりあえず鍼だけ自分で打ったけれど
漢方薬は病院でないと用意出来ないのでとにもかくにもやってきたらしい。
なんだ、最初の患者さん、キャンセルでラッキーだったんじゃない。
わかりました。先生が処方箋を書き終えたら奥様がお薬の用意をするからその間
私は先生の治療ですね。
(つづく)
ツークシュピッツェ山頂。ここのところ地上でも寒い日が
続いています。山頂はなおさら。2962m。
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