2016年2月18日木曜日

発音で教養がわかる?



     昨日の話の続きをしてしまおう。なぜ発音がきれいだとインテリジェントだと
    思われるのか?




     ドイツ人は外国人のドイツ語を聞く時に「耳から」のみの聞き憶えで
    学んだブロークンドイツ語か高等教育の一環として身につけたドイツ語かを
    一瞬で見分ける。社会階層意識の強いヨーロッパだからドイツ人にとって
    この能力は大切なんだ。何しろヨーロッパ内からたくさんの移民が流れ
    込んでくる。怪しい奴らもいっぱいだ。ドイツ語を学ぶのは日本人ほど
    苦労しない。なんとなく、、で身につける外国人もたくさんいる。

            

「訛り」研究家ヒギンズ博士が発音で出自を全て言い当てる。
マイ フェア レデイのお話の背景はヨーロッパに来るとよくわかる。



     語学学校に通い続けるのはお金がかかるから出稼ぎの人はまず机について
    勉強しない。それでも時々器用な人もいて、耳から入ってくる言葉を
    そのまま覚えて身につけちゃったりする。そうやってペラペラ喋る人も
    たくさんだ。



         でもね、簡単に見分ける方法があるんだ。


     一見ペラペラに見える外国人でも怪しいと思ったら喋っているドイツ語を
    「書かせて」みたら100%わかる。ドイツ語のスペルは基礎がしっかり
    わかっていないとなかなかミスせずにデイクテーションできないものなんだ。
    そこまでさせなくても喋ってるのを聞けば、だいたい、その人が「スペルを
    意識して」発音しているかそうじゃないかは容易に区別できる。
    
             例えば、ね、



     こないだうちのドクターがね、内緒なんだけど(ってネットで公開して
    どーする!)クリスマス時期にグリューワイン(Glühwein=燃やした?
    燃える?ワイン)を買ってきてみんなに振る舞ってたんだけど、


       ささ、グリューンヴァイン(Grünwein=緑のワイン)をどうぞ



    と発音していておっとっとって思っちゃった。


     こういうのはスペルと意味の関連性が頭にないまま耳から
    入った音だけで単語を覚えている典型的な悪例で(すまん!ドクター!)
    医者の肩書きを周りが知らなければ蔑まれちゃうところだと思うな。


     ドイツ語の発音は易しいとよく言われるけれどきちんと「正しく」読むのは
    実は難しい。書くのはもっと難しい。一つ一つの音の発声はフランス語や
    中国語みたいに日本人にとって難関なハードルではないけれど、ドイツ語は
    名詞なんかいくらでもドッキングして長〜い単語を作れるし分離動詞とかも
    あるから文法の基礎知識がないと一体どこでどう区切って発音して
    いいのかもわからない。(むしろ上級になってくるとはっきりと意味を知らない
    単語でさえ文法の知識と経験から類推していきなり初めてでも正しく
    使えることがある。)



    



     移民を大量に受け入れてまあ、なんて太っ腹な国民なんだろうと思われる
    かもしれないけれど綾ちゃんの知る限り、ドイツ人は本来閉鎖的で
    よそ者を警戒する向きが激しい国民だという印象を持っているなあ。ただし
    敬意を払うべき対象にはとても紳士的に大切に扱おうとしてくれる。



     綾ちゃんは病院勤めを始めてから毎日初めての人々と知り合う訳だけれど
    ほとんどの場合、リスペクトを持って相対してもらっている。ありがたい
    ことだ。



     でもこういう「流れもの」と正当な権利を持ってやってきたきちんとした
    外国人を区別してレスペクトに値する人には大いなる敬意をきちんと表して
    くれるのがドイツ流紳士学のすごいところだと綾ちゃんは思うなあ。
    ロコツ、とも言えるか。

    

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