2015年10月16日金曜日

おーい!お坊さんはどこへ行った?




      彼女の一家がドイツ赴任期間を終え日本へ帰国するより数ヶ月
     以前から彼女からの連絡が途絶え始めていた。



      綾ちゃんは呑気なタチで(ていうか毎日勉強したりセミナーに
     出向いていたからね)事態にずいぶん長い間気がつかず、あれ?
     そういえば最近、彼女とおしゃべりしてないな、と気付いた時には
     彼女の帰国間近となっていた。
     お別れの挨拶を綾ちゃんから切り出すのは変だしな、、、とちらっと
     気になりだした頃、主人が夕飯の晩酌時に職場で起こったトラブルについて
     語り出した。(綾ちゃん夫は口が固いので基本的には職場のこと、特に
     同僚の噂話などはあまりしません。この時はもうトラブルが下火に
     なっていた。)




      実は数ヶ月前からこんなことで揉めていてね、、、彼の語る職場の
     トラブルでは彼女のご主人が管理職に反対する立場を取っていた。
     ああ、そうだったのか、と合点が行く。これってウワサに聞く奥様
     社会の縮図だね?ダンナ様同士がそりがあわないと奥様にも波及するって
     やつ。あれだけ家族愛の強い彼女ならそうだろう。へー、綾ちゃん、
     初めての体験。、、、




           ばっかみたい。おーい、お坊さんはどこへ行った?



       まあ、オンナの友情が儚いのはこれに限ったことでもないけれど
      「徳の高いお坊さんが見える」とまで言っておきながら都合が悪くなると
      ムシかよ。
      あほらし。自分の透視能力は間違いでした、嘘でした、って告白してる
      ようなもんじゃないか。結局、自分の都合のいい時だけ「視える」と
      豪語していた彼女。



       ちょっとムカムカしていた綾ちゃんだったが、いよいよ日本へ帰国、と
      なった数日前のことだったと思う、彼女が電話をかけてきた。




       すると綾ちゃん、瞬時にして彼女と過ごした一風変わった日々が全部
      蘇ってきて、やっぱりこのままにはできなかった。彼女もさすがに
      あそこまで綾ちゃんと付き合っておきながら全てを反古には
      できなかったのだろう。すぐに待ち合わせしてきちんとお別れを言った。





       彼女とは結局ソリが合わなかった。のちに彼女が家族でミュンヘン旅行に
      きて懐かしい職場訪問をした話を夫から聞いたりしたが綾ちゃんには
      会おうとしなかった。綾ちゃんも日本に帰省した際、彼女に連絡を
      取ったりすることはなかった。



       ただし、彼女がいなければ綾ちゃんがここまで集中的にスピリチュアル
      を識ることはなかった。絶対に。彼女との出会いには意味がある。
      そして別離にも意味があるのだ。



       彼女が綾ちゃんの前からいなくなった後次々にいろいろな女性が
      綾ちゃんの前に現れてきたのは偶然ではないと思う。


       それから3〜4年のうちに綾ちゃんはスピリチュアルに
      興味があるという方と一気にたくさん知り合いになった。
      綾ちゃんは自分からこういうことに興味があるとか言わないんだけど
      不思議なほどどんどん人が寄って来るんだ。




       しかも大抵の場合、そのテの本を携えて、、、。これは引き寄せ
      効果というやつだな。




             


             

前世療法の古典ですね。




              

      
      

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