『中国伝統医療というものがこれほどに身体だけではなく
心にまで影響を及ぼすものだと知って心から驚きました。
ドクター、スタッフの皆さん、本当に本当にありがとう。』
ふいにアンさん(仮名)の口からこんな言葉がこぼれたのは治療を
開始してから3ヶ月を過ぎた頃だった。
私はこの彼女の件に関しては、何の変化も訪れないし、ましてや妊娠の
兆候などまるきりないからそろそろお辛くなってらっしゃるんじゃないかと
心痛めていた頃だった。
けれどうちでの不妊治療を始めてからと言うもの、どんどん体調が良くなっていく。
生理痛や生理不順なんて病気のうちじゃないなんて世間では言われているから
そんなものだと思っていたし自分の体調が悪くても寝込むほどでなければ
病気とは言えない、ただ自分はちょっと不運な体質なんだとと思っていた。
ここに来てから、そういう一つ一つのことがとても大事だと教わって
最初は半信半疑だったけれど、やがて身体が軽く感じられるにつれ、
心も同時に癒されていくのがわかった。
小さい頃からの想い出、傷ついたり悔しかったり他人を妬んだりした自分が
不意に思い起こされ、それをもう一人の私が温かい目で見守っている。
そんな風に自分を癒し赦す体験をしたというのだ。
でも、問題の子宮内膜症の方はどうなったんだろう?
『きっと快方に向かっていると思うんです。でももう検査はしません。
この検査は麻酔を使って行われる内視鏡検査なので身体への負担が
大きいんです。せっかくここまで良くなった身体を傷つけたくありませんし。』
なるほどねえ。そうだったんだ。この患者さんは内膜症診断のあとすぐに
掻爬(そうは)手術(子宮内のお掃除のようなもの。子宮内面を傷つける。)を
行っているからその時の身体の負担は大きかったはず。
ニンシン、という「結果」が必ずしも伴わなくても
こんな「治り方」もあるんだ。
よし、心もポジティブになって言うことなし!
ゴールはもう、見え始めた、そう信じているよ。
桂皮ってシナモンのこと。
これも婦人科系の代表的な生薬。
お茶に入れて飲むと暖まります。
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