彼は救急隊員のパイロットさんだから職場から
特殊なプライベート保険をプレミアでつけてもらっている。
身体第一の仕事だもんね。うちの治療もほぼ全額職場が
出してくださるそうだ。とりあえず金銭面での不安はない。
そうはいってもお仕事の合間を縫ってだから
週に二回から三回位の割合で通って来られただろうか。
通常、うちの先生は腫瘍を手術なしで鍼と漢方薬だけで
治せるかという質問に対しては、初期の場合、腫瘍が小さい場合
(だいたい直径3〜4㎝以下)の時には「手術なしでOK」を
出すのだが、彼の場合は外から見ても直径10㎝くらい、到底
無茶な大きさなのだが、外科的にも大変きわどい場所にあるらしく
CTスキャン画像によると咽頭のかなりの部分に食い込んでいて
手術をすると障害が残る可能性大だと言うのだ。
だから、どうしても手術なしで何とかしたい。
かなり必死でいらした。だけど2ヶ月経っても3ヶ月経っても
何の効果も現れなかった。その代わり綾ちゃんもすっかり
そのパイロットさんと仲良しになった。一人暮らしなのに
炊事が苦手で無茶苦茶な食生活であることが判明したので
(そして幸いエスニック料理が大好きということなので)
ドクターは彼にせっせとごはんを食べさせた。朝ご飯など
食べたこともないとおっしゃるので彼が来る日にはまず
治療前に朝ご飯を食べさせる。綾ちゃんが朝、慌てて
食べるものを用意したこともあった。お昼はその場で食べさせるか
何かうちの料理を持って帰らせることまでした。
ドクターは「これが大切な治療なんだから」とおっしゃった。
彼が彼の「怒り」について具体例を挙げてくれたことは
いまだに一度もない。忍耐強い紳士なんだな。
そして4ヶ月目を過ぎた頃、とうとう朗報が訪れた。
いつものようにやって来た彼にいつものように綾ちゃんが
『お加減いかがですか?』
と尋ねると
『見てください、判りますか?腫瘍が小さくなったのが!』
え?え?ええ〜??おおお!!!本当だあ!!
何と!三分の二くらいになってるう!!
やったあ!
今日の朝の気温は−3℃
道の水たまりはみんな凍っちゃった。
photo by Ayako Y.
夜は雪。我家の風呂場の天窓。
photo by Jiro Y.
おお寒い!
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