意外な方面から別のパンチがやって来た。
そこは病院だったがうちの職場とは何の関係もない普通の内科医。
私の住む町は小さな田舎町。ここに一軒だけ開業しているお医者さん。
大先生はずいぶんなお年のおじいちゃん先生。小さいなりにも一族経営で
(一家経営というべき?)お子さんたちもみんなお医者さん(?)のようだ。
ある証明書が必要でとりあえず近所にあるその病院に行ってみた。
ら、大先生(うちのドクターの倍くらいのメタボ腹だった)、私の名前を見て
大先生 『ほほう、うちの町に日本人が住んどったのか。
ご結婚はなさっておるのですか?』
といきなり世間話から始まり、
私 『ハイ。』
大先生 『ご主人はドイツ人かね、日本人かね。』
私 『日本人です。』
(おじいちゃん先生だからセクハラとか人権侵害とかアタマに無い。
いいなあ、のんびりしてて。)
大先生 『子供もいるんだろう?男の子かね?』
私 『ハイ。』
大先生 『だったら子供の名前は「太郎」で決まりだな。』
は?なんでこの人知ってんの?しょ、初対面だったよね。同じ町で近所に
住んでるったって。うちの長男はミュンヒェンの高校に通ってるから
ほとんどこの町の人とコンタクトが無い。地元の学校に通ってる二男なら
ともかく、いきなり長男の名前を言い当てるなんてどういうこと?
私 『そのとおり、ですけどどうしてご存知なんですか?』
大先生 『何だって?あなたのお子さんのお名前は本当に太郎なんですか?
こりゃあまいった。実はうちの長男の嫁が日本人でね、
セツコさんっていうんだ、ドイツには住んでないけどね。
で、孫の名前は太郎っていうのさ。いやあ、まいった。日本人は
男の子が生まれたら本当に太郎って名前を付けるんだ!』
ちがうって!ただの偶然だって!ものすごい偶然だけどね。そしてさらに、
大先生 『ボクはこの保険証があるからあなたの名前を見て
日本人だってわかるけど、そうじゃなきゃ日本人か
中国人か区別がつかないよね。でも、日本人は中国人と
間違われると怒るんだ、そうだろう?』
と、おもむろに直球を放った。あはははは、と笑ってその場は済ませたけど
きっとこれはセツコさんがおじいちゃん先生に教えた知恵なのだろう。
こちらに住んでいると電車の中とかでよく、こちらを見てにやにやしながら
『ニーハオ、ニーハオ!』
とつり目の真似してからかわれる事があるからやっぱり中国人ってのは
差別、侮蔑の対象としてみられてるのは本当なんだな。
明らかにキムタクを意識したユンディ リー(右)
これほどイケメンの実力派ピアニストもそうはいない。
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