バーでさんが泣きながら去ってから数週間が過ぎた。
今も毎日のように彼女のことを想ってはご無事と一日も早い
回復を心の中で祈っている。
結局何の力にもなれなかった無力感と親しい人間関係を失った
喪失感は今もなお尾を引いているのだ。
こんなことならもっとペースを最初からゆっくりと設定して
長く治療した方が良かったんじゃないかとかあんまりあれこれ
指摘すると混乱するんじゃないかと想って言うのを遠慮していた
膨大な知識の数々を少しでも披露した方が良かったのかしらとか
ああ、何を言ってもあとづけで何が結局良かったのかなんて誰にも
わからない。でもあのときはあれがベストだったんだ。
でもやっぱりこれが「ご縁」なんだろうな。
彼女はうちを訪れたことで(願わくば)何かを得て
そして来るべきときが来て去っていったのだ。
クールに彼女を切り捨てたかに見えたうちのドクターは
翌日バーデさんの保険会社に電話してずいぶん長い間話し合っていた。
やっぱり食い下がってどの料金コード番号を使えば治療を認めてもらえるのか
とか何とか可能性はないのかと問い続けていた。
そりゃそうだ。綾ちゃんがこれだけ悔しい思いをしてるんだ。
ドクターが一番悔しいに決まってる。
この件に関してどうしても心を切り替えられないでいた頃、
不意にバーデさんの息子が自分の治療のため予約を入れて来た。
チェロのレッスン場のベランダにつぐみが卵を産みました。
ヒナが孵った!かあわいい〜!!
ベランダのドアを開けるとママが逃げちゃって赤ちゃんたちが見えた!
0 件のコメント:
コメントを投稿