『息子のニキビは一週間もしないうちに綺麗さっぱりなくなって
体調もすこぶる良いんです。この病院のことをことのほか気に入って、
家でもここの治療のやり方は全然よそとは違うねって、良いお医者さんに
出会えて良かったねって、何度も何度も話しているところなんです。』
今日はバーデさんの御主人もご挨拶にいらっしゃった。そうそう、うつ病は
治療効果が出るのに時間がかかる。普通ならそれまで待てないだろうが
息子の治療をパラレルで行ったのは良かった。こんなに若くて
ぴちぴちした(イイ)男、しかももともと健康体、ニキビを治すくらいちょろいもんだ。
でもバーデさんにとっては素晴らしいデモンストレーション。漢方は効く!大丈夫!
私の選択は間違いない。と希望の光となったわけ。
一ヶ月近くが過ぎるころ、綾ちゃんは連日のようにネットでうつ病関連の記事を
読みあさった成果で「うつ病博士」状態になった。食べ物睡眠時間の過ごし方家族の
サポート音楽趣味言葉スポーツサプリエトセトラ。患者さんの負担にならぬよう、
さりげなく生活習慣や心持ちを穏やかにストレスフリーな状態に持って行けるよう。
そして綾ちゃんは気付いていた。連日無い時間を削っては山積みの本とネットに
首っ引きでドクターもバーデさんの病状と取り組んでいたのを。
月曜日の朝など病院に足を踏み入れようものならドロボーでも入ったかと
見間違うほどのドクターの部屋の散乱ぶり。めまいを覚えながら本やら走り書きを
揃えていれば嫌でも目につく。中国語の漢字を拾い読みするとドクターが週末を
まるまるバーデさんのケーススタディに充てたことが読み取れる。
そんな風にしてバーデさんご一家、ドクターと綾ちゃんは
心を一つにしていったんだ。
何気ない日常の風景
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