アシスタントのカリンさん(仮名)がこれまた信じられないくらい
いい人だった。
子供は彼女とすぐに仲良しになって、まるで素敵なお姉さんが出来たかのように
はしゃいで甘えていた。彼女は当時まだ20代だったはずだ。早くに父親を失い
薬剤師であった母親に女手一つで育てられたと言う。女四人姉妹の末っ子で、
上の三人のお姉さんは全て優秀、全員医学部に入ったんだって。でもカリンさんは
お勉強が大嫌いで成績も全然良くなかった。好き放題して学校も大学進学コースである
ギムナジウムには行けなかった。ようやく学校が終わる頃、自分の「やりたいこと」が
おぼろげながら見えてきた。やっぱり医学をやりたいって。
遅いかもしれないけどそれでも出来る限りのことをやろうと思って大学入学資格
(アビトゥア)を取得、けれどこの成績では本当に入学出来るのはいつのことやら。
そこでまずは自然療法家になろうと専門学校に通い資格を取った。国家試験だし
試験問題は100%西洋医学だから将来役に立つ。そしてここに就職した。
ドクターのもとで漢方やら医学やらたくさんのことを教われて本当に幸せだわ、と
語る表情は明るく、とても綺麗で穏やかなオーラの持ち主だった。
うちの息子は、当時日本で流行っていたTBS日曜ドラマ「仁」にハマっていて
毎回ドラマを見る度にカリンさんに(もちろんドイツ語で)あらすじを紹介したり
していた。
病院内でドクターのお人柄にもう一つ、華を添えているのがカリンさんの
存在で、彼女は患者さんみんなに好かれて慕われていた。
私は原作よりドラマが好き。日曜劇場「仁」。
いわれてみれば医療ものだし西洋医療と漢方が仲良く統合する話だし
実は的を得た内容だったりする。
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