Tさんの仕事ぶりはというと、これがまた芳しくなかった。
ロンドンから来たばかりとは言え同業者同士、世界は狭く社内でも顧客
(取引会社)間でも彼の名は知られていた。が、一様に
「約束を守れない。」
「言うことがバラバラ。」
「何を言っているのかわからない。」
「言うことがバラバラ。」
「何を言っているのかわからない。」
など散々なものだった。どうも又例によって(?)これらの評判を知らぬは上司ばかりなりの世界だったようだ。
ある日の昼休みのこと。綾ちゃんは同業者の方とランチで偶然一緒になり
なんともなしに世間話をしていた。するとその方は最近、仕事でTさんとの間で
トラブルがあったとかでだんだんにTさんの愚痴話に話題が傾いていった。
彼の方はかなり嫌な思いをしたらしくTさんを罵る語気が次第にエスカレートして
行く。全くニンゲンとしてどうかしてるんじゃないかって。だから言い寄る相手も
いないんだって。
綾ちゃんとしてはTさんの仕事の実態は噂で聞いているだけだったし一応同僚だし、
人間性まで悪く言うのはちょっと、、、という思いから、つい(でも言葉に気をつけ
ながら)
『ニンゲンとしてTさんがおかしいかはわからないですけどプライベートは
それなのに充実しているようでしたよ。恋人のような方(なんて表現したらいいんだ!)
もおられるみたいだし。』
とTさんを庇ってみた。、、、ら、
『男だろ?』
は?
『ヤツの恋人って男だろ?みんな知ってるよ。有名な話だ。』
はああああ?????
ミュンヒェンは春真っ盛り
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