昨日のことだ。
『はあい、バーデさあん(仮名)、お時間です。鍼を抜きますねえ。』
明るく元気に、でも患者さんのカンにさわらぬよう極力穏やかに話しかける。
最近綾ちゃんの心を占めている気がかりな患者さんは彼女だ。ここ2カ月ほど
ほぼ毎日通いつめてらっしゃる。が、一向に回復の兆しはない。
彼女は精神的に極めて不安定なので小さな心の動揺で涙する。
大抵ショウアッップの時には涙ぐんでいる彼女だが治療を開始すると徐々に
落ち着きを取り戻す。笑顔を見せることすらある。
今日も彼女はものすごく具合悪そうだったが綾ちゃんが指圧を終える頃には
随分落ち着いた様子だった。鍼を終えれば食欲も少しは出るかもしれない。
ドクターとタッチ交代して鍼を打ってもらい30分経過。今日はお灸する時間が
なかった。他の患者さんのとこに行ってたからね。
あれれ?バーデさん、まだ泣いてる?
『 大丈夫ですか? ドクターを呼びましょうか?』
『いえ、いいの。ねえ、ヨシオカさん、私にはわからないわ。
ドクターはもう私の治療はしないっていうの。酷いことだわ。
私はどうしたらいいの?今まで何をしても私の病気は治らなかった。
ここが最後の希望だったのに。酷いわ。』
う、ウソ!綾ちゃんはバーデさんの背中を撫でながら言葉を無くしていた。
けれど綾ちゃん自身もそろそろこんな日が来るんじゃあないかと思っていた。
彼女の加入保険会社が治療の支払いを拒否する日が。
カネの切れ目が縁の切れ目ってか?
先週の月曜日はイースターの祭日だった。
綾ちゃんはのんびりお庭で一人ランチ。
あすかさんに先週いただいたサーモンキッシュを
冷凍させてあったので病院で余ったから持って帰らされた(!)
なすとコリアンダーをあわせた。ゼクトはスーパーの特売。
今読んでいるのは建倉圭介のDEAD LINE
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