アムリットさんがんばれ

 

　　　　　　　　　ドアの外で喧騒が聞こえる。とうとう誰かがキレた？？

　　　　　　　　　綾ちゃんは日本の某高級ホテルの一室に缶詰め状態だった。

　　　　　　　　　日本到着からそのまま抗原検査ののち3日間のホテル隔離期間に入る。

　　　　　　　　　3日間部屋から一歩も外に出られない。誰ともリアルで接触出来ない。

　　　　　　　　　

綾ちゃん一人でツインルーム。結構快適。

毎日ほぼ同じお弁当。

覗き口から廊下を覗く。

おそらく各部屋の住人全員同じことしてないか？

外出禁止、アルコール喫煙禁止etc。

「アムリットさん、何やってるの？」

　　　「アムリットさん、違うでしょう！ほら！」

どうも宿泊客が騒いでる訳では無いらしい。

アムリットさんとはお弁当配膳係のスタッフさんのお名前だった。新入りさんかな？

　　　ずいぶん絞られている。

「もお〜、いいわ！一回一回お名前呼ばないとあなたって自分の仕事が分からないのね！」

「はい、アムリットさん、623号室2人前、はいアムリットさん624号室大人2名子供1名！」

アムリットさん冷や汗かきながら右往左往。

きっと日本語もまだ不確かなんだろう。

　　　　　　　今は大変な時期だけど頑張れ頑張れ。ドアの内側からエールを贈る。

　　　　　　　立派な社会人になって日本に早く馴染めますように。

　　　　　　　　特殊な3日間だけれどこれも貴重な体験とのちに思えます様に！

　　　　　　　　　　　　　早く普通の日々を取り戻せますように！