2016年10月29日土曜日

ちょっくら留守にします





        突然の思いつきで小旅行に出かけることになりました。


        一週間ほどブログをお休みいたします。



                        吉岡綾子

2016年10月28日金曜日

対等であるべき国際結婚?




       何年前だったか、ドイツニュースダイジェストに国際結婚論?の
      特集みたいな記事が載ってて、そこに特に国際結婚の場合は互いが
      フィフティ・フィフティであるために互いの言語をそれぞれが習得
      しなければならない、と書いてあるのを読んで目からウロコだと
      思ったのを覚えている。
      改めて考えてみれば、当たり前すぎるほど当たり前のことなんだけど。
      


       嫁(または嫁ぐ)という字は女が家に入ることからきていることでも
      わかるように一般に女性は男性と比べて環境の変化に柔軟に対応出来る。
      とにかくそういう仕組みになっているらしい。だから国際結婚は圧倒的に
      女性が異国に嫁ぐケースが多くなり従って言語的にも女性が男性の国の
      言語を習得する必要に迫られる。ま、個人的には日本語ぺらぺらの
      ドイツ人パパ友も結構いるけどね。


       でも確かに、日本に何の興味も持たないドイツ人夫は一般的に問題アリ
      だな。普通は相手のことが好きになったら必然的に相手のバック
      グラウンドにも興味が湧いてくるはずだからね。



       女性のドイツ語が拙いからといって夫がイライラするのは間違っている。
      だったらそっちがアタシの言葉で喋ってよ、というべきなんだな、本当は。



       そういうことって、でも、もっと早くから気付いておくべきことだね。
      でもなあ、結婚前とか、恋愛で燃えてる最中には思いもよらないん
      だよなあ、これが。




ご存知「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」の主題歌。
綾ちゃんはこれを見てラストシーンで号泣しているところに息子がやってきて
僕も見たいというのでもう一度最初から見て2回目もまた号泣してしまった。



でも綾ちゃん夫は全然だったって。うちはとっても仲良しでよく判りあってる
夫婦だと思うんだけどこういう感性はまるきり違う。息子の方が感性が合うらしい。
多分夫婦って違ってた方がいいのかも?





2016年10月27日木曜日

死んでもいい




       アイラブユーを「死んでもいい」と訳したのは二葉亭四迷だったと
      思うんだけど、ぐっとくるよね。


       もっともドイツ人男性(女性)に向かって「死んでもいい」なんて
      たわけた日には「で?」で突っ込み返されるな。絶対伝わらない。
      これが日本だったら「あなたのために死ねる」なーんて言ったら
      思い切り引かれまくるか「101回目のプロポーズはいくらなんでも
      時代が違う」といなされておしまいだな。あるいは「いっぺん死ね」とか
      言われちゃったりね。




       うちは国際結婚家庭ではないから綾ちゃんのドイツ語が下手で夫が
      イライラするというトラブルはない。せいぜい子供に馬鹿にされる程度だ。
      でもまあ、想像に難くないなあ。独日カップルで、奥さんが日本人
      だったりすると、最初のうちは一生懸命言葉を探す姿が愛らしく
      映っちゃったりするんだろうけどだんだんそれにも慣れてきちゃうんだね。
      10年以上も経っちゃって、まだドイツ語でもたついていたりすると
      (でもこれ当たり前なんだけれど)おい、まだこんなことも言えないのか
      ってね。



       旦那さんだって最初の頃は覚えたての日本語で「オッハヨーゴザイ
      マース!」とか挨拶しただけで拍手喝采、日本語お上手なんですねとか
      もてはやされたりしてたのに、それ以上続かないと黙殺される。



       夫婦は永い付き合いになるわけだからここんとこをうまく
      乗り越えられないと辛いものなんだよね。



            

二葉亭四迷 wikiより



2016年10月25日火曜日

気持ちを伝える言葉




ちょっと前のことなんだけれど、遠く(ミュンヘンではないドイツ)に住んでる
お友達がね、ドイツ人の旦那さんと色々難しいことがあって
離婚するとかしないとかすったもんだ揉めていた時に(結論を
先に言うとなんとか解決したんだけど)電話とかでずっと相談にのって
いたことがある。


色んなトラブルが二人の間にはあったんだけれど奥さんはご主人のことを
一貫して「愛している」とおっしゃっていた。綾ちゃんの目から見ても
どっちかというとご主人のほうがふらふらしていてやばい感じだった。


でね、二人の均衡が崩れるときっていうのはやっぱり言語のコミュニケーションが
舌足らずになってしまうときなんだって。奥さんのドイツ語が拙くてご主人が
イライラして爆発のきっかけを作るそうな。


『でもね、愛してるってイッヒ リーベ デイッヒ以外になんて言えばいいのよ?』


『ほら、二人で一緒に綺麗な夕焼けを見て感動したってシェーン(Schön=綺麗)
しか単語が思いつかないじゃない。』



なんて愚痴を綾ちゃんにずらずら並べる彼女に、綾ちゃんは綾ちゃんで
それって国際結婚にだけ特有の問題なのかなあとふと首を傾げたりしたいたものだった。





今日ね電車の席に座ったら窓際にこんな落書きがあって思わず写真に撮ってしまった。
人種差別反対!TTIPを阻止せよ
と書いてある。TTIPというのは北大西洋版TPPのこと。




2016年10月23日日曜日

神曲とシンギョク




一昨日のこと、ある生薬がたまたま在庫切れでどうしましょうかと
ドクターに尋ねたところ、代替としてこれを使いなさいと神曲をトンと
置かれた。思わずそれからダンテの話題を口にして盛り上がったのは
言うまでもない。




薬品棚には(炒=炙った感じ)と(焦=強く炙った感じ)と二種類ある。



ダンテなんて読んだことがなくても恥ずかしがる必要などない。
読んでる人の方が綾ちゃん的にはむしろ不気味だ。
このテの古典はいきなり読んで解る種類のものではないんだけど
ちょっとした導入とか予備知識などがあればぐぐっと面白くなるんだ。

「神曲」の邦訳はあまり良いものがないと思っていたんだけれど綾ちゃんは
偶然去年のクリスマスの頃、ネットで最新の訳が出ているのを見つけて
随分熱心に読んだんだ。それで記憶が比較的鮮明に残っていたというわけ。






これ、木の根っことかに見えるでしょ。


でもドクターは自分は学がないからと随分恥ずかしがった。
気持ちはわからなくもないよね。でね、ネットであれこれ中文の説明を
出してあげたらそれを読んですごく興味を惹かれたらしくて
絵心のインスピレーションに火をつけたみたいだった。

そうそう、「神曲」っていろんな絵画のモチーフになってたりもするよね。


2016年10月21日金曜日

神曲




         神曲という名の漢方生薬があることをご存知だろうか?




       シンギョク、と読むらしい。写真検索すると毒々しい色のもの
      とか出てくるから綾ちゃんが普段見慣れているものとは違う。
      明日にでもうちの病院のを写真に撮ってくるかな。



       いやあ、この名前をうちの病院の薬品庫の棚に見つけた時は
      震撼っていうか、とにかくびっくり。
      だって綾ちゃんのそれまでの理解だとダンテの代表作、「神の喜劇」
      という直訳の戯曲に神曲という邦訳をつけたのは森鴎外で、その訳が
      あまりにも見事であったため中国など他の国でもそれに習ったと
      思っていたわけで。つまり神曲という単語は日本独自の熟語だと
      信じていたからなんだよね。まさか同名の漢方薬があったなんて。



       これは面白いことに、小麦粉、小豆粉その他を練り合わせて
      発酵させたものなんだよね。生薬の状態では植物の根っこかな?
      と思わせる形状なんだけど。発酵食品なわけだから身体に良いに
      決まっているね。





例によって本文と関係ありません。
テーガーン湖沿いの遊歩道。これが気持ちいい!ぐるっと回れるけど
時間の都合で断念。来年暖かくなったらまた行こう。
水もきれいだから泳ぐのも気持ちいいって。









           





       

2016年10月20日木曜日

テーガーン湖で受難の道をたどる




テーガーン湖のハイキングコース、リーダーシュタインの道行きで
思いもかけないキリスト受難の立て札に出会った。これは1枚しか写真を
撮らなかったんだけどそのあとの写真を一挙公開しちゃうね。


ここはキリスト受難の物語が14枚の立て札で示してある。キリスト教で
いわゆる「十字架の道」というやつだな。ここがこんなに敬虔な道とは
思いもよらなかった。


十字架道の途中なんだけどしばらく行くとね、こんなものすごい
洞窟に出くわす。




見上げるとはるか上方にマリア様の像が。




でね、洞窟の内側にこんなのがあって、これはキリストとも受難とも
違うっぽい。よく見てみると、、、



1861年に山で行方不明になった方が1897年になって登山道工事の際
発見されたという慰霊の札だということがわかります。



山頂に上がると



小さな礼拝堂があります。15番目の巡礼の地というわけ。


ここからの眺めが素晴らしかった。


山の頂上だからねそれほど広くないんだけど、この時驚いたことにね
綾ちゃんの後ろから手を引かれた全盲のおばあさんが登ってこられたことなんだ。
展望に立って付き添いの人がずっと風景の説明をしていた。
そうだね、風や空気の感じ、受け取れるものはたくさんあるものね。




2016年10月19日水曜日

人生を語っているなあ



こんな風にして綾ちゃんは日々病院内で出会う人々に
教えられること大なんだけど、今更ながらに思っちゃうな。
病気という試練に応える人々の神々しさというのか、
軽々しく語っちゃいけないのはわかっているつもりなんだけれど。
振り払うことのできない病魔に向き合う姿がそのまま人生を語っているなあって。


以前、尋牛(または十牛図)の話題を出したことがあったよね。身近な真実が見えなくて
探して探して力で押さえつけてなんとか手なづけて連れ帰る。そしたら
いつしかその存在さえ消えてしまって調和に至る。そして今度はその真理を
他人に語れる存在となる、という、まあ、ざっくり言い過ぎかな?
こういう禅のプロセスとか、、


西洋の心理学で言うとショック、絶望(悲しみ)、怒り、諦めそして
受け入れという諦めがたいものを受け入れるまでの経過というのは
通じるところがあると思うな。




リーダーシュタインへの道はやっとで山道っぽくなった、
と、思ったら、、、




あれれ?これはまた、イエス様の受難の図?なんでここに?



2016年10月18日火曜日

病病介護





老老介護というのは昨今の深刻な問題だと思うんだけど
(かくいう綾ちゃんの日本の実家も高齢者世帯だから心配しているんだけれど)
マールさんのお宅は病病(?)介護だ。一人暮らし世帯の病気も辛いだろうけれど
二人揃って重病人というのは大変だろうなあ。普通の家族だってみんなで
風邪ひいちゃったりした時とか本当に大変だもんね。感染症とかだと
一過性でいいけれど事故の後遺症や癌だとそういうわけにもいかない。
それなのに二人そろってあんなに夫婦仲良くして互いのことを
想い遣れる関係ってもう神々しく見えちゃう。



マールさんはうちの病院の全てを心から信頼していてそして何より
綾ちゃんとおしゃべりするのを楽しみにしてらっしゃるように見えて
恐縮だ。そうだね。綾ちゃんがもし彼女の立場だったらやっぱり同じように
綾ちゃんのような立場の人に信頼を寄せるだろうな。歳が近くて
自分の病気のことを熟知していて。旦那さんほど近くない関係っていうのがいい。
女性にはおしゃべり相手って大切なんだよね。特にうわべだけの
相槌じゃなくって心に響く波長のようなものが同調する感触のある相棒って。





テーガーン湖駅から1時間15分で行けるというリーダーシュタインを
目指します。ところがこの標識、とんでもない奴で延々15分歩いても
30分歩いても「あと1時間15分」のままだった。



しかも道はずっと砂利道。これサイクリング用か?登りにくいのなんのって。
帰りにわかったんだけど登山道とか色々ルートがそれぞれあったんだった。
途中から合流する場所があって普通の登山道に乗り換えられました。
いや、帰りは絶対転ぶでしょうと思って気が気じゃなかった。



2016年10月17日月曜日

通院そして補助治療




       『結局、子供はできなかったの。治療はとても辛くって
       あの時を境に自分では体質が変わってしまったような気がしているの。
       ホルモン剤とかの投与もあるから。
       もちろん証明も何もできないけれど。』




       『そうこうするうち夫の脳腫瘍が発覚。彼はとてもポジティブな
       人なんだけれどさすがにこの治療はとても辛くて仕事との
       両立は無理だからやめてしまったの。』





     そう、割とススッとおっしゃるけれどここは案外ポイントで
    ドイツのがん患者というのは意外なほど通院治療の方が多い。
    抗がん剤はほとんどの場合定期的に点滴を受けたり投薬したり
    だから入院して体力を落とす必要はない、ということのようだ。
    手術の場合以外は普通の生活を送っていらっしゃる。だから
    補助治療でうちに来る患者さんも多いんだな。




バームクーヘンで有名なクロイツカムはテーガーン湖にもあります。




ここのテラス席がなんと優雅でロマンチック。
朝だったので空いていて肌寒いけど着込んでいたしどんどん暖かく
なってきたから大丈夫だった。


まずはここで湖を眺めながらダージリン。



2016年10月15日土曜日

未婚女性は人工授精できない?




マール氏はいわゆるリストラ組ではなく病気治療に専念するための
希望退職者だった。脳腫瘍。手術が難しいため抗がん剤による化学治療を
継続中の身の上とのことだ。




『私は昔はキャリアウーマンでボーイフレンドが出来ないモテ期無し女子だった
から、彼と出会った時にも、自分は仕事と結婚したオンナだから籍は入れないわ
なーんてイキがっていたものよ。』


へええ、そんな活動的な女子だったのかあ。
今のお姿からは想像出来ないなあ。



『でも子供は欲しかったの。でも出来なかったから人工授精に踏み切ったのよ。
そしたら病院でね、未婚女性の人工授精は法律で出来ないことになっていますって
断られちゃったのよ。それで慌てて(!)結婚しちゃったってわけ。』



これは綾ちゃん初耳!
まあ言われてみればそうかも。あとから色々法律上ややこしく
なるかもしれないもんね。


世のカップルで種々の事情に迫られて「余儀なく」籍を入れたという例を
色々知っているけれどこれは初めて聞いたなあ。




夏休みのこと。テーガーン湖にも行きました。





BOBで快適。


2016年10月13日木曜日

しかも重病人




実は綾ちゃん、マールさん(仮名)のご主人にお会いしたことがある。

奥様の治療が終わるのを待って建物の下の入り口で待ってらっしゃった。
水泳の帰りに待ち合わせだそうで、病院の受付でお茶でも飲みながら
ゆっくりお待ちになればいいのに、という綾ちゃんの誘いに「いやいや」と
遠慮なさる感じが実直そうで優しそうな方だな、いいご夫婦だな、と思った。



でも同時に彼の第一印象があまりにも「病人」ぽくて気になっていた。
ものすごい病人のマールさんよりさらにヤバそうな雰囲気がある。
水泳帰りなのに顔色悪いし表情暗いしなんていうか影が(これがオーラか?)ある。


55歳だというマール氏のご職業はと訊いてみると3年前から「早期退職者」
だという。早期退職という名の40代、50歳代のリストラはドイツでも横行していて
主に大企業の社員でよく耳にする。日本のように退職金はないが
年金は(問題山積だが)とりあえずそこそこなので二人の年金なら
(マールさんも病気療養のため早期退職者)なんとかやっていけないことも
ない、のだろう。うーん、奥様の治療費もバカにならないだろうになあ。


でも、マールさんご本人からご主人の早期退職の理由を聞いて驚いた、
と言うよりやっぱりとショックを隠せなかった。


やはり彼も病人だった。しかも重病人。




お隣さんにベランダお茶会にお呼ばれしました。
うちはいわゆるDHH(Doppelhaushälfteドッペルハウスヘルフテ)という
二世帯住宅。お隣の大家さんと一つ屋根別世帯で暮らしています。
ログハウスのような造りのお宅のベランダにハンモックがあって
息子が大感激して揺られているの図。



2016年10月12日水曜日

精神病と間違われる




      『こんにちは。マールさん。お加減いかがですか?』






     このあいさつからそのあとだいたい30分近く彼女の近況を聞くのだが、
    大変な症状のオンパレード。しかも内容が毎回違うからどこの病院に
    行っても神経症患者扱いで精神安定剤と痛み止めの処方しかもらえない。
    綾ちゃんですら時々本当に本当なのかしらと疑いたくなる時があるくらいだ。
    だが何の理由もなく急に血圧が劇的に上昇したりそうかと思うと突然
    吐き気が止まらなかったり湿疹が身体中にできたりはっきりと証明できる
    ものだけでもたくさんあるし、それらがころっと明日には治って別の
    症状に苦しめられたりしているから厄介この上ない。



      『誰も私の苦しみを信じてくれないの。ここ以外では本当に誰も。
      もう何年も、1日も休むことなく苦しんでいるというのに。
      一体どうしたらいいの?』



      最後にはおいおいと泣くことが多い。やせ衰えた身体を抱きしめると
     ふうと大きく息を吐いて少しだけ落ち着いてくれる。そうだね。こんな風に
     受け入れてくれる人が欲しいよね。マールさん、ご主人はいらっしゃるん
     だっけ?



             ご主人のことを教えてちょうだい?


        


         日本を代表するピアニストでもある児玉麻里・桃姉妹の
        くるみ割り人形のデユオCDが発売されるそうです。
        綾ちゃんはお二人と個人的にも懇意にさせていただいています。
        この予告編を見てびっくり。オーケストラみたいに色んな
        音が聴こえるー!みなさん、ぜひよろしくー!



 




   

2016年10月11日火曜日

終わらない病気




歳が近いというのはそれだけで親近感が沸く。
綾ちゃんたちはすぐに仲良くなった。もうかれこれ半年ほどになるだろうか。
彼女には休暇も旅行もない。毎日が苦しく辛い症状との戦いだから
定期的にうちの病院に通うのが一番の楽しみで贅沢という日々だ。



事故で後頭部を損傷した。
頭蓋骨陥没で口蓋がずれてしまったらしい。現在お向かいの歯科(これは
うちに通うのに便利だからとわざわざ転院した)で矯正中だ。
いわゆる口腔外科の歯科矯正とは随分違う内容みたいだ。本来噛み合って
いた歯がずれてしまいその苦しみは壮絶なもののようで
そのままでも地獄、治療もまた地獄といった塩梅らしい。



頭蓋骨の合わせ目沿いに毎日激痛が走る。それに沿って背中、胸までが
痛み、それ以外の節々も日替わりメニューで異変が起こる。
とてもじゃないけど想像することができない。


そしてその痛みはいつか止むという希望もない。
どの病院へ行っても痛み止め以外には処方してもらえない。だがこれも
敏感すぎる体は拒否反応を起こしてしまう。
ただただ優しく撫でてもらう時、鍼を打ってもらう時、それから
お灸を当ててもらう時にだけ痛みが軽減するというのだ。





ところで綾ちゃん、初めてドイツでからすみを買ってみました!
120グラムくらいで19ユーロ。ドキドキして買うほどの値段でも
ないのに日本では高くて買ったことなかったからつい緊張しちゃった。



野菜たっぷりのフェットチーネクリームソースに
スライスとすりおろしをたっぷり。彩りが良くて大満足。
海臭さとねっとり感の不思議な融合食。大成功と言えるお味でした。



2016年10月9日日曜日

容姿も病苦の果て



辛い病気を抱えている方のお話をするね。

彼女に初めて会った時、70歳くらいのおばあちゃんだと思った。
初診表の記載と患者さん本人を何度も見比べてウソでしょう、と息を
呑んだものだ。この女性が綾ちゃんよりひとつ年下あ?
(まったくの余談だが綾ちゃんは日本で20歳ほど年齢をサバ読んで60歳過ぎと
自称しているドイツ老婆ペアが友人宅にホームステイした時にヘルプしたことが
ある。帰りの便のチェックインの時にパスポートを見て驚いたのなんのって。
いや、これは反対の意味で元気なお年寄りの例だな。)




マリアテレジア教会(本文と関係ありません)



治療のために服を脱いだ状態で改めて全身状態を観察すると、なるほど
肌の状態などは老けてはいない。痩せこけてひだが皺のように見えたり
表情が疲れて顔色も悪いから容貌が褪せて見えるんだ。



彼女は事故とそれに続く手術の後遺症で
数え切れぬほどの不定愁訴に悩まされている女性だった。

長年の病苦にここまで容姿も衰え果てるのかと驚きを禁じえない
悲しい出会いだった。




中には入らなかった。


2016年10月7日金曜日

普通の人のように振る舞いたがる



夏休みはご紹介した以外にもあちこち行ったんだけど
写真はおいおい紹介していきますね。




プラハ黄金小道の鎧展示の家


まあこんな風にしてこの夏は患者さんたちと盛り上がりながら
みなさんのオススメをそれぞれ聞いたりして実際にそこを訪れては
また感想を言い合いっこしたりと随分楽しんだ。
行楽地の話題というのはすごく一般的に誰とでも気軽にできるからいい。


綾ちゃんは毎日病院でいろんな人たちとおしゃべりするけれど
相手によってトークや「ノリ」は当然変わってくる。
できるだけ明るく朗らかな綾ちゃんでいたいんだけど(そんな風に
思われたいんだけれど)旅行や楽しい週末の話題がタブーの人たちだって
いらっしゃる。旅行なんて考えられもしない重篤な患者さんには
もちろん気を遣うものなんだけれど、でもそういう方に限って
むしろそういう話題をしたがる聞きたがる「普通の人のように振る舞い」たがる
ものなんだよね。



そういう時ってちょっとした「腹の探り合い」的な緊張したムードに
陥ることもあるよ。





拷問道具の展示もあった。


2016年10月6日木曜日

祭りに対する感性の違い



そういえばドイツの祭りには宗教色の薄いものが多い。宗教と合体しているのは
祭りじゃなくて行事だもんね。クリスマスとかイースターとかね。
聖マルティン祭とかだと地域ごと(教会ごと、または幼稚園ごと)に行われるし。
オクトーバーフェストだって本来秋の収穫祭と王室の結婚式の融合した
変化形なわけで地域密着型の祭りだと言えるわけなんだ。


日本だと盆踊り一つだって地域の神社やなんかに集まる感じが理屈抜きに
土着の神様への敬意を感じさせるし。




汎神論的土壌の日本人は実に神様に近いところに生きていて
ありとあらゆるところに神様を見つけ出してそしてそれを敬うことの
敬虔さときたら、ちっとやそっとの一神教の人々の及ぶところでは
ないんじゃないkという気が時々する。


普段全く意識しないんだけれど、こういう時にその証左が現れるねえ。


綾ちゃんなんかは「お祭り」という言葉に反応しちゃって
ドイツに住んでいてさえ、祭りに行かないことはなんだかどこかしらの
神様に対して失礼な行為だと感じていたんだ。


長くドイツに暮らしていてもやっぱりこんなにも感性が違うんだねえ。


2016年10月5日水曜日

オクフェス行きません発言を後ろめたく感じるのは綾ちゃんだけ?




オクフェス行った?いつ行く?というのは毎年9月を過ぎ
夏休み明けになるとミュンヘン子たちの挨拶言葉と化す。


今年も(実は去年も)ついに足を踏み入れなかった綾ちゃんなんだけど
なんだか綾ちゃんは他人に訊かれて「いえ、行きませんでした。」と言うのが
なんだか心苦しい。でもそういう気持ちに陥るのって綾ちゃんだけみたい。



カレル橋を上から撮ってみた。(まだプラハでごめんなさい!)
お祭りの行列みたいでしょ。


綾ちゃんは小さい頃から人ごみとか苦手なタイプだったから
初詣とか祇園山笠とか放生夜(ほうじょうや)とか全部苦痛だった。

綾ちゃんみたいな人って意外と多いんじゃないだろうか?


だけど博多どんたく大濠公園(ローカルマニアックですまん)の花火大会を
パスするのと初詣を辞退するのでは重さが違う。



綾ちゃんの親はこういう儀礼ごとをものすごく大切にする人たちだったから
満員電車にもまれようが延々立ちん坊になろうが何のその。全然へこたれなかった。



そう、日本の祭りは大抵神社とかで行われる神様ツキの行事だったから
これを嫌う人というのは本当の意味で「非国民」だという
刷り込みがあるんだなっとふと気がついた。








プラハの街にもあるゲーテインスティテュート



2016年10月4日火曜日

ドイツ非国民的暴言?




全くもって非国民(てか、ドイツ人じゃないけど)的問題発言かも
しれないけど、オクトーバーフェストに行かないミュンヘン人はたくさんいる。
そういう人って割と誇らしげっていうか、「オクフェス?ふふん、あんなもの」
ぽいスノッブ感満載で足蹴にしたりするものなんだ。




まだプラハの写真です。こんな風に露店でジュース売ってる。




もちろん綾ちゃんだってミュンヘンに住み始めた当初(学生時代)は
何度も行った。でもその頃同時に、意外にも地元民の人々、特に中年以上の
年齢層は馬鹿にしてる雰囲気の人が多数派なのだと気付いて驚きもした。
へえそんなものなのかと心外だった。




甘酸っぱいレモネード。暑い日で最高でした。



こうやって今、おばさん代表格の年齢になってみると喧騒を疎ましいと
思う頻度も高くなってはっきりと足が遠のく感触が理解できる。


綾ちゃんが自分からオクフェスに足を運ぶのは日本からこれに合わせて
お客様が来た時くらい。後輩の子とかだと見栄を張っておごっちゃったりするから
支出もハンパ無い。いや、本当、お高いよね、オクトーバーフェストって。


何もかも。ううう。









2016年10月2日日曜日

経世済民

              



     さて、オクトーバー フェストも残すところあとわずか。初日の悪天候以外、
   好天に見舞われて何よりです。大きな事故も起こってないし。良かった良かった。




                 綾ちゃん、自分はオクフェス行きをサボっておきながら、こんなこと言うの
   心苦しいんですが、政情不安や社会不安、天変地異がある時に経済活動を
   止めないことはとても大切なことだと思うんですね。
   今年はいろいろと騒がしい事件が起こったからみんな慎重になっている。
   なるべく人ごみには出ないほうが安全だというのはその通りではあるんだけれど。





                経済という言葉は経世済民だから水の流れのように、血液の流れを良くする
   ことでエネルギーが沸き上がるように社会を活性化させるという意味なんだ。




    オクトーバーフェストの2週間とその前後、病院でも毎日のように
   


      『ヴィースン(Wies'n=Thresienwieseオクフェスの事さ)にはもう
      行きましたか?』




    という言葉が交わされる。ほとんど挨拶言葉となっている。
   でもね、実はほとんどの地元民はヴィースンには行かない。これには皆それぞれ
   いろいろと理由があるんだけどね。今年は政情不安とか重なって、心の奥では
   ミュンヘンの街を盛り上げたい気持ちが相まって、なんとなく「行かない」と
   答えることにためらいがあったなあ。



           それでいろいろ考えちゃったなあ。




本文と関係ありません。プラハの川沿いの水上レストランです。





足の疲れを癒すためここで休憩。
サイコーの気分でした。