2015年5月30日土曜日

ハンブルクダンジョンとミニチュアワールド

                  


      去年、ロンドンダンジョンが面白かったのでハンブルクダンジョンにも
     行ってきました。これはその街の犯罪など過去の影の歴史にスポットを
    当てたテーマハウス。中は撮影禁止で写真撮れませんでしたが楽しかったー!







        
         ひえっひえっひえっ。綾ちゃんちょっと張り切りすぎ。





絞首刑1、40m落下体験
いや〜、悪趣味ですねー。





                             お隣はミニチュアワールド。壮大な箱庭の世界。
                                数分おきに照明を絞って昼と夜の風景を演出します。




ハンブルクの港



ノイシュバンシュタイン城


これなんだっけ?ミュージカルの舞台だよね。




2015年5月29日金曜日

ハンブルク1日目




                    昨年新しいチェロを買ったばかりの綾ちゃん、全くお金がありません。
    ということで今年はコンクール参加者割引のユースに泊まりました。


       

ユースの看板 ハンブルク競馬場そば



                        ドイツはユースホステル発祥の地。綾ちゃんもこれまで随分お世話に
     なりました。今回コンクールの参加者ばかり固めて相部屋だったので皆、
     早寝早起き。笛や歌、ヴァイオリンなど練習の音が響き渡り立派な合宿
     状態。今年の審査員の下馬評なども聞けてみんなでわいわい楽しかったです。


             

入り口はおしゃれですねえー





                         うちは早々と演奏を終えて翌日一日は夕方の審査員による講評&指導の
      時間まで観光することにしました。(コンクールは一週間続くのですが、
      他の演奏を見てまわるなーんていう殊勝な心掛けは全然ないんですな、
      うちの子たち。)



市庁舎側の眺め  ヴェネチアみたい



この川べりで夕食にしました。




ハンブルク有名な倉庫街の眺め



緯度が高いですねー。20時過ぎてます。


2015年5月28日木曜日

ハンブルクに行ってきましたー!



                            ハンブルクに行ってきましたー!





       子供の音楽コンクールですが、ついでに観光もしてきました。





                  ハンブルク駅

    初日は朝早くICEに乗って出発。6時間かけてお昼過ぎに到着。登録等
   手続きを済ませたら夕方にはいきなり本番です。



ドイツ青少年音楽コンクール全国大会の旗の前で。
皆んな記念写真撮ってた。

    ほとんどの方が前泊しますが、うちは出番が夕方だったので当日発に
   しました。前泊だと体調を崩したり練習場所の確保に苦労したりテンションの
   保ち方が難しかったりするかな?っと考えた結果です。うちの子供たちは
   真面目な音楽家タイプではなくぱっと燃え尽きる(!?)一発打ち上げ花火な
   奴らなので、、、。








                       曲は若き日のメンデルスゾーンがチェロを弾く弟のために作曲したという
     ヴァリエーション。一般に知られていない曲ですが「いばら姫」を彷彿と
     させるメルヘンチックで超美しい曲です。それからロシアの作曲家
     ミヤスコフスキーのソナタ。これもカッコいい曲です。ううー、綾ちゃん
     曲の解説始めたら止まらなーい。



      本番は波にノリノリ、観衆や審査員たちも巻き込んで迫力のある
     とても良い演奏だったと思います。綾ちゃんは大満足。



             
                                うちの子たちのはお聞き苦しいでしょうからイストヴァンさんの
        演奏でお聴きください。メンデルスゾーンのヴァリエーションです。


      ただーし!!結果は残念!今年は入賞ならず!でした。
     コンクールだからね。こちらの思惑どうりにいかないこともあるさ。
   


      良い演奏を聴いたときというのはとてもいい気持ちになります。
     子供達は悔しいかもしれないけど綾ちゃんはとってもいい気分。
     今日の演奏は絶対人々を幸せにするオーラに包まれていた。
     よし、また次頑張ろう!




 

2015年5月24日日曜日

ハンブルクに行ってきまーす!、、ので





           ハンブルクに行ってきまーす!、、ので数日間、
          ブログをお休みさせていただきます。


             来週半ばには復活予定です。




            


ドイツにお住いの皆様は良いプフィングステン(聖霊降誕祭)休暇を。



2015年5月22日金曜日

バッチのフラワーレメデイー

                     


     日本でどれほど知られているだろう?バッチのフラワーレメデイー。
    作曲家のバッハと同じスペルだけれどイギリス人なのでバッチと読みます。
    ドイツ人は皆バッハって読んでるけどね。

                                       

バッチと言えばレスキューレメディーが有名


                            ハーネマンの編み出したクラシックホメオパシーは当初から理論、
      用法共に完成形で、本質的にこれ以上発展の余地の無いものだった。
      今日出回っている変化形のものはむしろ本質からは外れているように
      思えてならない。



       、、、が、バッチのそれはある意味ハーネマンの究極形で
      行きつく所まで行ったものだという感がある。病人の精神面に
      スポットをあてて38種類のみのレメデイーで癒しを与える。
      38種類を覚えるだけなので素人でもカンタンに始められる。



       自分に合ったレメデイーを探すのもカンタン。本を一冊購入する
      だけだしネットで検索してもいい。副作用も皆無と言っていいから気楽だ。


                                ただし、たーだーし、、、。

                           残念ながら綾ちゃん自身は殆んど経験がない。大声じゃあ言えないん
      だけどね。お恥ずかしや。何故だか解らないんだけどね。そこのところは
      正直に話しておいた。


                                  でも何もしないより絶対いい。



                                             

エドワード バッチ博士


2015年5月20日水曜日

フラワーレメデイーなら簡単




                     マヌカン嬢はそれでも綾ちゃんに処方してもらいたがっているのだろうか?
     綾ちゃん的にはだいたい全体像は固まっているんだけど。




                       少しでも今の状態を良くする手助けがあれば藁にもすがりたい。
     これが本音です。マヌカン嬢はそう言った。でもヨシオカさんには    
     迷惑をこれ以上かけたくないんです。




                         そうだろう。本当に辛いしキツいんだ。病気は人を弱くする。
      仕事にも集中出来ないし甘えてばかりでは対人関係も悪くなりがちだし
      (些細な対人関係をくよくよ悩むのもうつの特徴だな、そういえば)
      お金だって行き詰まっちゃう。


                               綾ちゃんが今、アタマの中にあるレメデイーを試してみますか?
       それからそれを補強する意味でバッチのフラワーレメデイーを
       選んでみましょう。これなら誰にでも簡単に自分に合ったレメデイーを
       見つけられます。




                     『そう、そうだわ。フラワーレメデイーは昔、本を読んで勉強してみようと
      思い立ったことがあったの。残念ながらまるきり中身を覚えていないん
      だけれど。』




                              そう。これならカンタン。どなたにでもオススメ出来る心の内側を
       癒す療法なんです。





有機栽培のゼクトまでついでに(?)頂いてしまった。
実質上何もしていない綾ちゃん、お礼もらいすぎだな。


2015年5月19日火曜日

吐き出すことが全てではない

                    



      『やっぱり私には無理みたいなんです。この間、ヨシオカさんと
     待ち合わせした日の前日、ああ、明日は自分のことをしゃべるんだと
     思ったらどきどきして興奮状態に陥ってしまって眠れなくなって
     しまいました。自分でもこれほどまでに自分をさらけ出すという作業が
     出来ないということに気付いて驚いています。』



                                       やっぱりそうか。そうじゃないかと思ったんだ。




                          いや、別に気にしないで下さいね。判ってもらえるといいんだけど。
     「しゃべる」ことが全てではないんだ。むしろ彼女の物語を聞く必要は
     もはやほとんどの必要ないと言ってもいいくらい。ここまで色々な話題を
     しゃべってきたし。綾ちゃんはここまでの彼女との付き合いを通して
     育んできた彼女に対する「理解」を彼女の人生を聞くことで「補強」
     したいと考えただけなんだ。




                     綾ちゃんは大学時代、心理学や教育学を学んでいる友人が多かった。
     カウンセリングの勉強をしている子がたくさんいて(おそらくは若気の
     至りで)心の内側をさらけ出す効用を重視している風潮にまみれていた。
     でも、綾ちゃんは何となくそういうのにちょっと距離を置いていたんだ。
     まさか後に自分が似たようなことに(セッションの過程はよく似ている)
     手を染める(?)とは思ってもいなかったけどね。




                     こんなに自分と向き合うことに憚りを持つ人が(意外にも多く)いるとは。




                       いつまでたっても勉強です。勉強と経験。





                                  

チェロのレッスンについて行ったら
ベランダのひよこちゃんたちが大きくなっていた。



もうちょっと経ったら飛び立てるのかな?



2015年5月16日土曜日

話せる人はまだ幸福

                      




     『ごめんなさい。今日になって頭痛信号が始まっちゃって。
     お出かけすると大変なことになりそうなんです。本当に申し訳
     ありません。今日はキャンセルさせて下さい。』



                   事前に教えておいた綾ちゃんの番号に電話が入った。仕方ないよね。
    こういうこともあるさ。或いは彼女にとって自分の本質に関わることと
    向き合うのは凄まじくしんどいことなのかもしれないな。



                    来週の水曜日にいずれにせよ病院で会える。その時にわかると思う。
    おそらく彼女は綾ちゃんと会って話をするというシチュエーションを
    アタマの中で思い描いてみたはずだ。それが心に何らかの影響を及ぼした
    かどうか。




マヌカン嬢にセッションの「先払い」でいただいた
シャンパンのミニボトル
うほほーい!


2015年5月14日木曜日

待ち合わせ

                            



       綾ちゃんは謝礼金を頂かないという条件でセッションを承知した。
    ただしこれはあくまでアソビ。綾ちゃんも随分怠けてたから力量不足は
    否めない。


                  まあ、綾ちゃんだってこの3年間、テリトリーの違いこそあれたくさんの
    患者さんと接してきた。ひとつひとつケースごとに、綾ちゃんなら
    どうするだろうと熟考を重ね続けてきた。ドクターから学んできたものも
    たくさんある。



                  綾ちゃんはマヌカン嬢とその女性のオーラが似ているからといって
    同じレメデイーを処方するのが正解だと思っている訳ではない。
    が、試してみる価値はある。ズバリそのものではなくともその周辺の
    レメデイーだという確信はあるのだ。




     とにかくまずは試みてみよう。それで患者さんがドクターから離れていく
    ことはあり得ないと思う。





     綾ちゃんはマヌカン嬢の提案に沿って土曜日の午前中、プライベートで
    待ち合わせをした。二人でお茶をする、というのが公の名目だ。
    綾ちゃんは図書館に返す本があったので図書館近くのおしゃれなフレンチ
    キャフェの名を挙げた。



          だが、マヌカン嬢は待ち合わせにはやってこなかった。




           

返しに行ったのはこの漫画。
ハマっています。「ちはやふる」





          

2015年5月13日水曜日

治療者の勘

                    

      そう、綾ちゃんが狙っていたのはまさにこれ。この反応。綾ちゃんは
     マヌカン嬢とより深く知り合うにつれ、急速にずっと以前の記憶、
     あの美しい女性を思い出すことが多くなり姿を重ねていたのだ。
     二人はちっとも似ていない。見た目も環境も何もかも。けれど背後に漂う
     悲しみの影のようなものが同質に思えてしょうがない。




                      これが治療者の勘というやつだ。プロはここからが本当の仕事で、
     勘頼りには決してしない。


                      でも、綾ちゃんの場合はどうしよう?ここから先は明らかな逸脱行為だ。
     そもそも漢方・中医学と何の関係も無いどころか下手すると患者の
     横取りという最もやってはいけない背徳行為ととられかねない。


                        『ねえ、ヨシオカさん。私、ドクターには本当に感謝しています。
      あんなに酷かった婦人科の病気が今では嘘のように飛び去ってしまって。
      これまで何をしても駄目で何十年も苦しんできたのに。ただ、頭痛だけは
      全然去りません。そして残念なことですがここまでの治療で私は
      2000ユーロ以上をつぎ込んでしまいました。そろそろ切り上げねば
      ならない頃なのに。』



                               うう。綾ちゃん、どうする?




                                    

サミュエル ハーネマン
ホメオパシーの開祖



2015年5月12日火曜日

マヌカン嬢の反応




                          綾ちゃんの昔話に驚愕したマヌカン嬢。ホメオパシーが生薬入りの
      砂糖玉くらいの認識しか無い人にとっては(ほとんどの方がそうだけど)、
      綾ちゃんの話は荒唐無稽なホラ話にしか聞こえないだろうと思う。
      この逸話は綾ちゃんの短いホメオパス人生の中で数える程しかない
      成功例なんだ。繰り返し言うけど、症例が「易し」かったからね。
      まさに教科書通りっていう事例だったんだ。



                           でも、綾ちゃんは自慢話をするためにこの話をした訳じゃあない。
      この話を聞いたマヌカン嬢の「反応」を見たかったんだ。



                          『信じられない!その女性の方の人生って、わ、私みたい。
       い、いえ、私は彼女のようにものすごいドラマチックな事件が
       あったという訳ではないんです。ただ、心が死んでいく感じ
       つまり幼少期のトラウマみたいなものがきっと同質なもので
       出来ているんです。』


                               『ねえ、ヨシオカさん、その、あなたが彼女にあげたっていう
        レメデイーを私も試してみることは出来ないかしら?
        もちろんお金は払います。』





              

DHU(ドイツホメオパシー組合)
ドイツで最もポピュラーなレメディーの瓶






2015年5月10日日曜日

綾ちゃんの処方



                     このドラマチックな出来事がどうやって頭痛の治療に役立つのかって?




                                               ふふふふふ。


                               これがクラシックホメオパシーの面白いところ。



                            綾ちゃんはこのものすごい昔話を聞きながら、おお、と膝を
      打ちたいような思いに駆られていた。




                            当時の綾ちゃんはホメオパシーを始めてまだ数年しか経って
       いなかったけれど、経験の浅い綾ちゃんでさえ判ったのだ。



                              これって、ホメオパシー的にはものすごく「易しい」症例だって。
       おそらく綾ちゃんに限らずホメオパスなら誰でもこの逸話から
       幾つかの「レメデイー(ホメオパシー薬)」を思い浮かべることが
       出来ると思う。綾ちゃんは彼女の様子や頭痛の状態も伺った上で、
       或るレメデイーを取り出した。ここではレメデイーの名前は挙げないで
       おきます。ヒントは「涙」と「悲しみ」。



                                 まあ、当たるも八卦当たらぬも八卦、というくらいの気楽な
        気持ちでこれを試してみてください。



                                 そう言ってその場でそのレメデイー(砂糖粒)をあげた。例えこれが
       「アタリ」で無くても副作用など一切無いから気楽なものだ。まあ、
       何十年も頭痛薬と共に暮らしてきた人の頭痛が一変にパッと無くなる
       とまで楽観はしていないけれど、きっと何かが彼女の中で変わる。
       その確信があったんだ。




                                  恐ろしいことに50年来の彼女の頭痛はその日を最期に全快した。
        レメデイーを摂ったあとさらに彼女は涙にくれて彼女が我が家を
        去ったのは夜中の02時過ぎだったと思う。









春真っ盛りのミュンヒェン


2015年5月9日土曜日

公開懲罰



                    彼女が事件の起こった日の前後、その界隈で遊んでいるのを見たと
    証言した人がいたらしい。噂には尾ひれが付き何の証拠も無しに皆が
    その説を信じた。もちろん彼女はまるきり身に覚えがない。


                     彼女は町の中央に連れ出された。村人たちが見守るなか彼女の父親は
    薪に火をつけ彼女の肩口にその火を押し付けた。公開懲罰だ。



                          彼女はこの瞬間、それ以前の全ての記憶を失った。




                     今からおそらく50~60年ほど前の或る国の片田舎。ぎょぎょ。
     横溝正史ミステリーの世界じゃあないか?




                    これらの記憶は彼女が綾ちゃんに言われて順々に思い出をたどって
     いくうち不意に甦ったもので、こんなことがあったこと自体、彼女は
     すっかり忘れていたそうだ。この事件以前のことは何も思い出せないし
     この事件を境にしてぼんやりとしかその後の少女時代を生きてこなかった
     ように思うと彼女は言った。




                            『今にしてみれば理解るんです。父は私を憎んでいた訳でも私を
       犯人だと信じていた訳でもなかったって。狭い村社会で起こって
       しまったいさかいを終わらせるために、皆に納得してもらって
       またいつも通りの日常に戻すためのけじめとして見せしめが
       必要だったんだって。
       もちろん当時の私がそんなこと解る訳もなく必死で全てを忘れる
       しか生きていく方法がなかったんですね。』



                     彼女は綾ちゃん(と綾ちゃん夫も同席していた)の目の前で  泣きに泣いた。




近所のスーパーマーケット
こちらにも藤の花は結構あります。



2015年5月8日金曜日

綾ちゃんの問診


                        結局、押しきられる形でセッションを行うことになった。




      クラシックホメオパシーの問診は「診察」といっても(西洋医学的な
     診察もやるにはやるが)メインは患者さんの「人生」を識ることだ。
     心理学のカウンセリングによく似ている。(お坊さんとお医者さんを
     足して二で割ったような職業ですね、と永松先生などはおっしゃっている。)
     その人の体調の歪みを引き起こしている「本当の」原因を突き止めるために
     その人の本来の「かたち」を探る。
     
      綾ちゃんは彼女の「人生」を伺ってみることにした。彼女の中に強烈な
     トラウマとなる出来事があるのかどうか。現在の彼女は何を考えて
     生きているのか。この二点を探ってみよう。もちろん報酬は頂かない。



                                     こんなことがあったそうだ。



                             彼女が小さかった頃。おそらく小学生だったはず。彼女は田舎の
      地主の家庭で父親は田畑の他に山を所有していた。広大な土地で
      隣の所有者との境界線としていくつかの場所に目印が立ててあったそうだ。



       ある時、その境界の目印がイタズラされて壊されていた。



       大人たちにはとてつもなく不愉快な出来事である。




       ところが、まもなく「犯人」として幼かった彼女の名前が
      あげられたそうなのである。







うちの病院の前の広場
チューリップが花盛り


2015年5月7日木曜日

治療依頼、、でもそれは無理




                  その頃綾ちゃんは自然療法家養成学校に通っていて家事と育児の合間は
    勉強、勉強。慣れない医学用語と格闘する毎日だった。自然療法と言っても
    学習内容は全て西洋医学。専門の分野は別口で勉強しなければならない。
    こちらはこちらで(こっちは「本職」となるべきものだから大変ななりにも
    面白い)少しずつ勉強を進めていた。綾ちゃんの本来の目的は
    クラシック ホメオパシーの勉強だったのだ。


                     ご近所にお住まいの彼女とは少しずつ仲良くなっていった。ビデオや
    本を貸しあいこしたり互いの愚痴を打ち明けあったり、一緒におやつを
    食べたり。普通のお付き合いだけれど気がつけば二人の間には暖かい
    シンパシーのようなものが通いあっていた。彼女の談では、こんな風に
    誰かと「仲良く」なるのは本当に滅多にないことなのだそうだ。




                      あるとき(知り合ってから5年以上経っていたと思う)彼女がふと綾ちゃんに
    尋ねた。もしかして綾ちゃんが彼女の頭痛を治せないかって。
    是非やってみて欲しいって。




                                      いやいやいやいやいやいやいや。



                                        いやいやいやいやいやいやいや。




                                                 それは無茶。


                             綾ちゃんが実力不足のひよっこだというのも大きな理由だけど、
      もうひとつ、重大な問題があるんだ。



                              ホメオパシーはね、診察の過程で患者さんの深ーい心の奥を
      覗かねばならんのだ。だからね、




                                一旦親しくなってしまった人間関係では、憚りがあるんだ。





セキセインコ見えますか?
どこかから逃げ出して迷子になった子だと思う。



2015年5月5日火曜日

綾ちゃんの昔話




                    『頭痛と言えば、、、なんですけど。いえね、随分以前になるん
     ですけどこんなことがあったんです。』



                        綾ちゃんはマヌカン嬢に指圧を施しながらゆっくりと切り出した。




                        もう随分以前になる。綾ちゃんがミュンヘンに越してくる以前だから
     10年以上前だ。近所にとても美しい女性が住んでいた。当時既に60歳
     近かったと思うのだが本当に目鼻立ちの一つ一つが整っていて、
     女優さんみたいな方だった。優雅で気品に満ちていて、でも気取った
     ところのない心の優しい方だった。
     お若い頃はどれ程綺麗だった事だろう。



                           彼女はお仕事もしていて(お子さんはいらっしゃらなかった)
      ご主人はエリート、職場の人々からも慕われて近所の人々皆から
      好かれていた。



                              誰からも好かれていた彼女だったけれど彼女自身は人付き合いが
       苦手で誰かと「深く」付き合うということがなかった。当時
       専業主婦だった綾ちゃんとも本当に仲良くなったのは知り合って
       何年も経ってからのことだ。


                                彼女が人付き合いを避ける理由の大きな一因に「頭痛」がある
       という話は聞いていた。症状はマヌカン嬢と全く一緒でそれが
       やって来ると社会生活をまるきり行えなくなるほど酷いとのこと
       だった。鎮痛剤とはかれこれ40年以上のお付き合いだと
       おっしゃっていた。






何のキャラだろう?





2015年5月4日月曜日

綾ちゃんの見立て



                        現在のマヌカン嬢の主訴は頭痛。しかもかなり激しい。

                        ドクターの治療の甲斐あって婦人科の症状は随分緩和されたそうだ。
     いやはや漢方恐るべし。ただし頭痛は退かない。頭痛の場所が毎回変わる。
     痛みかたもその都度違う。これは症状が固定された型から流動的になったと
     いうことなので、漢方治療が何らかの影響を及ぼした、と見るのが
     自然療法的だ。あと一押しな気もする。



                         でも、ここまでの綾ちゃんとマヌカン嬢とのお付き合いで綾ちゃんは
     彼女にある「イメージ」を持っていた。ある「仮定」のようなものと
     言えばいいのだろうか?彼女の病気が、何か彼女の深いところ、例えば
     彼女の生い立ちとか、そんなものからきたわだかまりの発露なんじゃ
     ないかって。


                          それで綾ちゃんは彼女にそれとなく話題をフッてみた。お仕事、
     大変な時もおありでしょうに。体調の悪いとき、頭痛のひどい時も
     おありでしょうに、いつも優しく親切にどなたにも接してらして
     ご立派ですね?



                    『そんなことありませんよ。ここではドクターもヨシオカさんも優しく
     してくれるから私もにこやかにしていられるだけで、外の世界では
     中傷やら妬みやら汚いこと、嫌なことだらけ。私、毎日毎日、自分の
     怒りをどこにぶつけたらいいやら途方にくれてばかりなんです。』



                       綾ちゃんは、この彼女が、だからといって職場やプライベートで
     怒って泣き叫んだり、他人に意地悪したりしているようには思えない。
     おそらく負の感情をぐぐっと内側に押し込んでいるんじゃないかな?




         そして おそらく キーワードは インナーチャイルド



                           綾ちゃんは彼女の主治医じゃあないから彼女を問診する訳には
      いかないんだけど自主的に彼女の治療をやってみたいという気が
      むくむくと湧いてきてしまった。反則なんだけどね。

                            そう思うのには訳があるんだ。このマヌカン嬢、実は綾ちゃんの
      知り合いの女性と大変似ているんだ。症状とそれから、彼女の
      持っている「オーラ」のようなものが。見た目とか、立場、
      年令などには全然共通項が無いんだけれど。

                                その話をこれからしてみようかな?



ドイツ代表




2015年5月1日金曜日

巡礼の道のりが引き出す苦痛




                         話をマヌカン嬢に戻そう。


              彼女も彼と一緒にサンテイアゴ デ コンポステーラへの巡礼の旅をした。
   うらやましい限りだ。でも彼女にとってこの体験はもはや思い出したく
   ない体験になってしまったそうだ。


              まあ、巡礼の旅は永い道程を歩くものだから体力もいるし宿泊所も質素、
   ごちそうが待っているとか楽しみがあるわけでもない。道程そのものが
   一種の修行なわけで雨や嵐、暑さもなんでも耐え忍ぶ以外無い。それで彼女は
   だんだん憂鬱になってしまいパートナーの彼の手前、ギブアップする訳にも
   いかず辛さだけが思い出として残ってしまったのだ。次から次へ走馬灯のように
   過去の辛い思い出ばかりが蘇る苦行の道程となってしまったらしい。


    最悪の精神状態に陥ってしまった彼女はそれでも何とか最後まで頑張った。



    綾ちゃんは彼女の体験談を聞きながら、なんとなく、「とっかかり」の
   ようなものを見つけ出したような予感がした。




                         

前回の記事と同じ木です。
こんなに花咲いてきました。