2013年2月18日月曜日

お灸は効きます。





右側の黒いチョークのような棒がうちでいつも使っているお灸。
韓国製です。




 実はお灸の威力を最近まで軽視していました。ドイツのプライベート保険会社は
お灸を「治療」とは認めず還付してくれないところが多いんです。それであとから
治療費の事でもめる事があるので、面倒になってお灸はサービスってことにしてるん
ですよね。そんなこともあってなんだか「付け足し」の治療みたいな気がしてました。



 漢方の本とかを見てもお灸がどうして効くのか、と言う事については経絡(つぼ)を
暖めることで、とか(軽度の)火傷の刺激が免疫力を高める云々とかって書いてある
だけなので(うちの先生の説明も、お灸の熱が地肌の穴から吸収されて経絡に効く
とかって感じ)イマイチ説得力が無いなあって思っていました。
電気とかが無い昔はそれしか方法が無かったかもしれないけど今は
赤外線ランプとかあるし、実際うちもランプ使ってるし、それがお灸である必要って
ないんじゃないの?香りがリラックス効果を持ってる事は確かですけど。
 中国でのお灸は「棒灸」といわれる形状でタバコの火を当てるみたいに患部(経絡)を
暖めます。お灸は中国の東北部で発達したんですよね。寒い地方のものなんです。






 とか思っていたら、こないだお灸で衝撃的に改善しました。


             私のぎっくり腰。


 先月、子供の音楽のおさらい会があって、出かける前に子供たちの黒靴を磨こうと
かがんだとたん、やってしまいました。翌日死にそうな想いで出勤(!)して
鍼を打ってもらいずいぶんよくなったのですが、その翌々日大雪が降って電車の
トラブルでまたもや悪化。再び鍼を打ってもらったもののなんだか深いところで
炎症を起こしているようでじくじくずっと痛みが残ってしまいました。ヤバい。
慢性化は避けたい。


 それで家でも出来るお灸を試してみる事にしたんですね。そしたら、明らかに
良くなっていくのが分かる。毎回、ちょっとずつなんだけどすっきりした快感が
増えていく。鍼のような劇的な感じとはまた違い、ふあ〜、ふあ〜っとした満足感
です。明らかに「もぐさ」の成分が身体に沁み込んで癒してくれてるう!



 お灸のにおいがすごいので子供たち+夫には大不評ですけど。
私はいいにおいに感じられるんですけどね。



 どなたか、お灸の効果のメカニズムの研究してくださ〜い。





 








 

2013年2月17日日曜日

蔑視




外国人蔑視の話題で思い出した。
ちょっと前にこんなことがあったっけ。



うちの古い患者さんでゴールドさん(仮名)という方がいらっしゃる。
キャリアウーマンのナイスミドルで私は愛情を込めて「金さん」と心のあだ名で呼んで 
いる。彼女がこの間、ひどい不眠症でやって来た。もう、かれこれ一週間くらい続いてるんだって。彼女はもちろん、うちの治療をとっても信頼してくれてるんだけど、でも、 
今日だけはそれとは別にどうしても睡眠導入剤を処方して欲しい、っておっしゃった。 「眠れないかもしれない」って思うのが怖いんだって。お守り代わりだからって。   


ドクターはね、こんな時にはほいほい西洋薬でも処方しちゃう。
ちょっと待っててねって5分くらいで処方箋をタイプで打ってハイよって手渡した。



ゴールドさんは、薬局が閉まる前にって(夕方でした)治療前にまず病院を飛び出して
行って下(同じ建物の下の階前方が薬局)に行った。               


       ところが15分ほどして彼女は戻って来てこう言った。             
『ドクター、申し訳ないんですけど下の薬局に電話をかけて私に睡眠薬を渡すように
お願いしてもらえませんか?ちょっと口論になっちゃって。受付の若い女の子があんまりわあわあ言うから頭が痛くなって飛び出して来ちゃったんです。』          



なんと、「金さん」の話によると、うちの先生の処方箋は受け付けてもらえなかった。
こんな医者がいるのか、本当に医者なのか、医師免許を見せてもらえ、とか言われたん 
だって。アヤシいからねえ、中国人の名前が • • • 。             



『あのね、普通、薬局ではオンラインで開業医の検索が出来るようになってるから、
「怪しい」と思ったら彼らが調べればいいんであって病気の患者さんと言い争いを   
するなんてちょっとありえないよ。辛い想いをさせちゃったね。』とドクターは   
おっしゃった。                                
         


だけど、うちらって、同じビルで商売やってんだよお!?
どういうこと?


そうこうしている間に時間切れ。夜間受付の薬局に行くには疲れすぎていたので
金さんはもういいやってお薬をあきらめてうちにストックしてある漢方薬を持ち帰った。
鍼も打ったし。(鍼はたいてい不眠症にはすごくよく効くから大丈夫だと思うけどね。)



医者でさえ外人だと、中国人だと、こんなことがあるんだあってかなり真剣に驚いた。


先入観と蔑視。





これが海外で生活するってこと。






漢方薬製剤。私は胃弱なのでこれらのお薬によくお世話になっている。症状がひどくなると先生にお願いして煎じ薬を作ってもらう。

2013年2月16日土曜日

思いやりの気持ち



 大きなスーパーマーケットまでバスで二つ先の停留所。歩いていくのはちょっと大変。
バスに乗った。


これは市内バス。うちの街にも同じ型のバスが走ってる。



 ドイツのバスは前から乗って(運転手さんに切符を見せる)後ろから降りる
ことになってるけどすごくいい加減。車いす用の乗車口は後ろだし朝の通学時は
大量に乗降があるからどっちも開けてる。日本みたいに一回一回機械を通したり
しないからね。



 今日、うちの前のバス停から私ともう一人の女性が乗った。私は前から乗ったけど
そのもう一人の方はわざわざ後方のドアの前で立ってたのに運転手さんは
知らんぷり。

女性 『どうして開けてくれないの?私は足が悪いから広い乗車口でないと困るのに。』
運転手『規則で乗車は前からと決まっているだろう。』


 運転手さんはバスを発車させたけどこのことでずっとお客さんと喧嘩になっちゃって
他の乗客の人たちまで巻き込んで大騒ぎに発展しちゃった。


 運転手さん次の停留所でエンジン止めちゃって
  『皆さん!私はここでどちらの言い分が正しいのか検証したいので警察を呼びます。
  バスを降りてください!』

興奮してそう言ったから、もうほかの乗客の人までみんな怒ってえらい騒ぎ。
何人かの人はげええって顔して本当に降りちゃった。


 私は全然降りても良かったんだけど、もともとどうでもいい距離をバスに乗っているのだという妙な意地があり(!)外は寒いし(−5℃)とりあえず成り行きを見ていた。
バスに残っているお客さんは十人ちょっと。


 さすがに口論に参戦していなかった他のお客さんたちも運転手に文句を言って
『オマエ、運転手なんだろ!とにかく仕事しろよ!バスを出せ!」と騒ぎ始めた。


        もっともだ。


 結局バスは再び走り始めたので事なきを得たって感じだったんだけど、ふと、
思ったんです。今、わあわあ騒いでた人たち、みんなドイツ語ぺらぺらだったけど
発音を聞く限り外人だったなあって。使ってる言葉の言い回しも(ちょっと説明しづらいんだけど)社会階層の低い労働者の言葉だったなあって。



 ドイツにはこんな風に長期(世代をわたって)滞在の労働者がいっぱいいます。
ドイツの国籍を取得してドイツの権利を振りかざして喧嘩してる。ちゃんとした
ドイツ人ならこんなところでこん風に分けの分からない喧嘩は普通しない。
足の悪い彼女は(私の目から見ても傍目にはそうとは分からなかったから)
「すみません。足が悪いので後ろのドアを開けていただけますか?」って尋ねれば良かったし運転手さんも「お困りの理由がおありですか?」って聞けたし、理由が分かったあとで「今度からそうおっしゃってくださいね。開けますから。」って言えたはずだ。



 この間ブログに書いたBMW工場勤務の彼(鬱のほう)なんかも朝から晩まで
こんな環境で仕事してるのかもって想像しちゃった。


          そりゃあ、すぐ病気になっちゃうよね。



 思いやりとかいたわりの気持ちとか、優しさや愛がバックグラウンドにある環境
から遠ざかるって事なんだろうか。外国に出稼ぎに出ざるを得ないって言うのは。





 日本の人はお遊びがてらで海外にやって来て長期滞在をファッショナブルに捉えてる人も多くって、ちょっと辛い。私だってそんな風に未開の国の原始人に見られる事もしょっちゅうなのに。



 慣れぬところで生き残っていくために無意味に「きつく」なる必要はないと思うよ。
        


              大切なのは思いやり。









2013年2月15日金曜日

小咄(こばなし)  その二





 この間も写真をアップしたこの湿布薬。うちでよく使っています。よく効くので。



 でもこれ日本のサロンパスとかと違ってものすごくセロハンをはがしづらいんです。
爪を立ててえいやって力を入れなきゃならなくって。
でね、ドクターが患者さんにこれを貼付けるとき(最初に写真の青い袋を破る時と
中の湿布をはがす時の二回、二回とも)、先生ものすごい顔して歯でギャーって
噛みちぎるんです。



            ここは病院。


            私たちは治療中。



 大抵の患者さんたちはものも言わずその光景に凍りついてしまうんですね。
文明国で衛生観念に大変厳しいドイツ人たちはそのワイルドな場面を目撃して
「やったー!オリジナル中国!この湿布薬効きそ〜!」と思うらしいんです。




                 実話です。




2013年2月14日木曜日

小咄(こばなし)  その一







アレルギーの患者さんがいて湿疹で困ってらっしゃいました。
こっちの人は大抵アトピーなどには油(ベビーオイルとか)を 
塗ります。自然派の人は質の良いオリーブオイルが良いって  
言うんですよね。多分それを受けてその患者さんが質問    
したんです。「肌に塗るには何がいいですか?やっぱりオリーブ
オイルとかですか?」って。                


そしたらドクターがおもむろに            
『だめだだめだごま油にしなさい!』っておっしゃって   
キッチンから使いかけのごま油を持って来て患者さんに  
手渡しました。患者さんは素直にそれを持って帰り    
ました。                       


実話です。







いつも先生ご一家と共同購入しています。
日本のものより香り高く美味





うちの病院で使っている鍼
左は止血薬

2013年2月13日水曜日

もう片方のスッポン 黎明(れいめい)






と、思っていたら転機が訪れた。


6度目の来院だったろうか。


『ちょっと、ドクター!もう、どうなってるんだ。全然治らないじゃないか!
マズい薬も飲んだし真面目に治療にも通ってるのにめまいは酷くなる一方だ。
どうにかしてくれよ。』                        



そうだよね。彼の治療費は日本円にして1回約1万円。そろそろ治療費だけでも
目が回っちゃうよね。これが私の場合ならだけど • • • 。          


私たちはいつものように彼にお茶を勧め談話用のテーブルに座った。



先生が口を開く。      




先生『いいですか。あなたの場合は病気の原因がとてもはっきりしている。 
薬と毎回の治療とそれからもう一つ必要なんです。すなわち「心」。
つまり、あなたの症状は全て「怒り」から来ているんです。    
あなたの生い立ち。それからあなたがドイツに来てからの生活と  
苦労。職場での人間関係。結婚の失敗。子育ての苦労       
(幼いお嬢さんを引き取っている)。あなた、他人や周りの環境を  
恨んでいるでしょう。ひとつ、そこのところをじっくり考えてみては
どうでしょうね。』                      




なんだ、先生。ちゃんとわかってるんじゃないの。ああ、もっと早くに先生に   
相談しとけばよかった。いつものことだけど、治療の申し送り以外はまず患者さんの  
話題には触れないもんね。わたしら。• • と思ってふと患者さんの方を見るとなんと 
彼は目が点になってる。えっ?そうだったの?って顔。               



そして私は見た!彼の「目」に風が吹き抜けたような瞬間が訪れて、そのあと突然 
彼の顔つきが変わった!                              


うっそ〜!?



 そして今日で8度目の来院。彼の表情はにこやかになった。誰の悪口も言わない。
今日は一緒にお昼ごはんを食べたけど中華は大好物だったらしく大感激しながら 
今日の幸福を噛み締めていた。もう一人の女性の患者さんとメッセの話題で   
盛り上がっている。                            


経験の浅い私でも何度も見て知っている。これは回復の兆候だ。自然療法では
心が先に回復の兆候を見せる(ことが多々ある)。やったあ。ゴールは近いぞ。 
まだ油断は禁物だけどね。                         



実はこのブログに彼のことを書き始めた時は(つい数日前だ)彼が治るかもしれない
なんて全然思っていなかった。ただ単に、面倒くさい患者の話をしようと思っただけ 
だったのに。                                 

いやあ、病み付きになっちゃうね。この快感。    
やったね、先生。



(おしまい)                                 



中国版タイガーバームサロンシップ??
生薬がいっぱい入ってて無茶苦茶効くけどアレルギーが出ることもあり




2013年2月12日火曜日

もう片方のスッポン 鬱病か?



      彼の口調は明るい。よくしゃべる。ずっとしゃべっている。
      しかも金髪の男前だ。でも内容は歪んでいる。



  『ええ〜?あなた、絶対自分に嘘ついてるよ。仕事が楽しいだって?
  これだから日本人はクレイジーなんだ。あなたは僕が生涯に出会った
  3番目の変わり者だね。』


  『いいかい、僕はね、ルーマニアで情報学科の大学を卒業したんだ。
  発明品も作って(新型の哺乳瓶らしい)特許だって取得したんだ。
  そんな僕がドイツに来てありついた最初の仕事は朝の道路掃除だぜ。
  今は毎日ベルトコンベアーから流れてくる自動車にうんざりして
  同僚からいじめを受ける毎日さ。でも誰だって似たような人生じゃないか。
  少しでもましな給料をもらって休暇でマジョルカ島に行くんだ。それとも
  イタリアか。人生ってのはあそこで過ごす数週間のことを指す言葉さ。』


そしてドイツ人の悪口悪口。アジア人への蔑視(ならうちに来るな!)。ロシア人を
馬鹿にして他の東欧諸国を分かった顔してそれ以外の外国人のこともひたすら
悪口。




 心の中でバリアを張りつつ、でもこれってきっと「心の毒出し」なんだよなっと
理解して、一応私なりの見解を随時述べる。あくまでポジティブな方向へ。
するとまた噛み付かれる。これの繰り返し。


 彼の主訴はこれまた耳鳴りとめまい。ああ、性格病だあ。全然良くなってないし。
彼は鬱病患者ではない(実際明るいし社会生活もちゃんと出来てる)が精神を病んでいることは間違いない。ズバリ鬱病の患者さんもこれまで何人か見て来たが、やっぱり
皆さん扱いが難しい。基本的に皆さんネガティブ思考なので治療途中で効果に疑いを
はさんでやめていく人が多い。


 彼は今のところよく続いているね。やっぱり私を相手に悪態をつくのを楽しみにしているとか??



 まあ、いいか。ふう。


(つづく)





北京同任堂のお灸。これが効くんだ。日本で言うお灸とは少し形状が違うかな。
                                                                                                             Photo by J.Y.