2013年6月2日日曜日

パンツは語る  ⑥



          建設業。キャリア。40歳ちょっと前。



 彼女は残念なほど(オイオイ)典型的なドイツ人女性の顔立ちだ。ずんぐりむっくりで
団子っ鼻。性格はややおとなし目。戦前のドイツの農家で良く見かけたであろう気だての良い女性だ。会社ごとプライベート保険に加入しているので週に一度は通って来る。
すでに2年近く通ってらっしゃるのでうちの病院にとっては大お得意さんだ。
仕事はハードらしいが週一の病院通いがまかり通る職場なのだから日本人の私からすると(おそらく中国人の目から見ても)同情には値しない。だって有給30日病欠は別計算だからね。



 ファッションもどんくさい。これは職業的必然と言うやつだ。スカートはありえないし
日々建設現場をチェックして回っているのでジーンズにジャケット、長靴などが
必須アイテムだ。休日だと少しおしゃれになる。でももともと地味めの人なのだろう。
グレーとか渋いグリーンとかが多い。ドイツはお天気悪い日が多いし寒い国だから
仕方ないんだけどね。かくいう私も、昔日本にいた頃はズボンと言うものをほとんど
はかない人だった。なんだか好きじゃなくってジーンズと言えば山歩き用に1〜2着
持っている程度だった。おしゃれ着のスラックスなどは持ってなかったのに、ドイツに来てからハタと気がつくとパンツルックばかりになってる自分に気がつき驚いたものだ。
とにかく寒いから腰回りを保温出来る格好に自然となっちゃうんだよね。(最近は心して
スカートはくように心がけてます。頑張れ!ワタシ!ってさ、ホント、どうでもいいな。この話題。)



 彼女の下着にはいつも度肝を抜かされてしまう。まっ、一言でいうとSMだな。
こんなにいっぱいどこで買ってきたんだっていうほど毎回趣向を凝らした生地や
デザイン。誰に見せるつもりなんだ。ってドクターしかいないでしょ。
黒とかとか金糸とかが色としては多くて皮とかビニールとかを用いながらアミアミ
だったりひもでギリギリまで巻き込んでいたりケバい色のおリボンがお尻についたり
とかね。




 こ、こ、こ、心の欲望??よ、欲求不満?いつもこれらのコレクションを見るたび
わたしは不安になってしまう。もしかして彼女って実は心の病気を治療してもらいたい
のかなって。ううん、よくわからん。見せびらかすのが嬉しいだけかもしれないもんね。





           シューマン「詩人の恋」より「美しき五月」
           歌 フリッツ•ヴンダーリヒ

           今年の五月はとてつもなく寒いまま終わってしまいました。
           ドイツの春への憧憬をこめて






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