2013年7月5日金曜日

ドクターの負傷  ⑥



 もちろん私はこれまでの人生で一度たりとも鍼などというものを自分で打った事など
無い。昔、中国によく出張で行っていたと言うドイツ人の患者さん(70歳くらいの方、
元シーメンスの技術者)がおっしゃるには中国に行くと朝早く太極拳をやっている
お年寄りたちが公園のベンチなどで一汗かいたあと互いに鍼を打ち合っているという
風景にしょっちゅう出くわしたという。彼は「非衛生的だ!(そこか?)」と非難して
いたが、まあ、とにかくそれほど鍼と言うのは中国ではポピュラーなものだ(または
ものだったのだ)ろう。現代中国ではとにかく西洋医療ばかりが幅を利かせているようにも聞くけれどね。



 指圧とお灸なら毎日やっている。でも、どっちもアバウトな場所感覚なんだもの。
親指とかで触れる面積と鍼一本がちくりと刺す一点は、ああ、砂の中に隠れた真珠を
手探りで探すようなものお〜!ホントに、本当に勘弁してくださ〜い!!



       『ここ、ここ、ここにね』


って指差して頼まれてこっちも真剣勝負でドクターの指差した先を見る。
よっしゃああ!ぶすっ!



      生まれて初めて鍼を刺したその相手はなんとプロ中のプロ。


            ひゃああああ。


(つづく)

       

僕参(ぼくしん)というツボでした。

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