2013年7月7日日曜日

ドクターの負傷  ⑧




        そしてお灸。


 棒灸をダブルにして患部にあてる。ドクターからは突き刺した鍼をぐるぐる回して
刺激を与えるようにとの指示。鍼を打つだけではなく、打ったあとそこに刺激を与える事で効果を高めるやり方で、他にも電気刺激を加えたりとか鍼のてっぺんにもぐさを
待針(まちばり)大に冠して火をつけたりとか色々な方法がある。


 暖めるというのはたいていの痛みに有効だ。お灸は今回のようなケースでは特に
有効だし患者さんにとって気持ちのよいものでもある。だけど鍼を回すってのは場所に
よっては結構な苦痛だ。私も自分が病気をしたときドクターにこれをやられてまいった。


 左手に棒灸を持ち右手で順番に鍼を回していく。これはかなりの痛みらしくドクターの
顔がゆがみ足はびくびく震えている。


   『あの、大丈夫ですか?ちょっと一度にやりすぎなんじゃないでしょうか?』


私はつい何度も尋ねてしまった。いくらタフなご仁とはいえちょっとハードすぎるんじゃないかな。ドクターは大丈夫、大丈夫っておっしゃったけどやっぱり鍼を回す回数は
少しずつ減らしてお灸をメインに変えていった。今は損傷箇所をゆっくり休ませてあげた方がいい。うん、今度はぐーすかいびきをかきはじめた。そうそう。まずはゆっくりお休みになるのが先決。


    そうこうするうちに10時になって患者さんがやって来た。


 よし、この患者さんなら良く知ってるから最初の30分は私が施術出来る。あと30分
ゆっくりお休み下さいと言いおいて私は患者さんの元へと向かった。


(つづく)


        

こんな感じで電気刺激を与える。

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