2014年11月1日土曜日

身内の死を喜べるほどの地獄





    おばあちゃんの義理の息子は急性アルコール中毒による突然死だった。



                 『アル中の息子は昨日も朝から浴びるように酒を飲んでいて我々が
    気がついたときにはもう冷たくなっていたのです。彼はキリスト教信者では
    ありませんでした。ですからお葬式はしません。荼毘に伏して遺骨を葬る
    業者にお任せすることにしました。これで全ておしまいです。
    やっと我々は救われたのです。』
                  


                        穏やかに、しかし決然といい放つおばあちゃん。まあ、ストレスの
     元凶であるところの義理の息子が突然死んじゃった訳だから豈に計らんや
     というところだ。が、そんなにロコツに喜べるものなんだ。
     こっちとしてはかなりフクザツ。どうコメントすりゃあいいんだ?



                       この静かな深い歓び、アイロニーに富んだ「歓迎さるべき死」を
      綾ちゃんはどこかで識っている、何だったっけ?と必死で考えて
      不意に思い出した。



                        カフカだ。カフカの「変身」のラストシーンだ。





         

キャロライン リーフの砂絵
グレゴール ザムザ



                      

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