2016年3月23日水曜日

縁の切れ目




   綾ちゃんの経験上、Zおばあちゃんのようなタイプの人とは大体において
  永く縁が続くことはない。必ず(こちら的には大したことない)クレーム絡みで
  トラブルが発生し人間関係に亀裂を生じさせる。でもそういう際にも、
  綾ちゃんの個人的見解だと、クレームの上がる「流れ」の裏には、結局、
  「完治せぬ現状への苛立ち」が隠れ潜んでいてネガティブな感情を抑えられず
  理性を欠いた振る舞いになるような気がするなあ。



   治療が長引くと予算的にも辛いだろうし、お年寄りの場合、何をやっても
  治らなかった辛い症状が漢方薬と鍼で軽減すると嬉しくてもっともっとと
  なるんだろうけれど若い頃のような完全な健康体に戻れるかどうかは別件だ。



   我々は患者さんに(普通のお医者さんがするように)ハイ、これでおしまい、と
  簡単に治療の幕引きができない。歯医者さんなら詰め物を取り替えたらおしまい、
  内科なら薬を処方して注射を打ったらさあおしまい。
  でもうちの場合はほとんどのケース、治療の終わりは患者さんに判断させる。
  多くはお財布との相談だ。
  その「終わり」が綺麗にいかない典型的なケースと言ってもいい、今回のはね。



   案の定、前回貼った湿布薬が肌に合わなかったのか指が赤くなっちゃった
  おばあちゃんがものすごい勢いで怒鳴り込んできた。
  あたしゃあね、病気を治しに来たんであって病気をもらいに来たんじゃあないよ。
  こんなところ、二度と来るもんかい!



   残念ながらたまたまその時お昼休みでドクターは外出中。綾ちゃんが
  受付に一人だった。本当に残念無念。おばあちゃんは言いたいだけ毒を
  撒き散らすと帰って行っちゃったけどさ。もしこの場にドクターさえ
  いらしたら、まあまあまあなんて言いながら優しく謝って指の治療してくれて
  きっと次回の鍼治療分を一回無料にしてあげたりするんだろうけどさ。
  こういうの(運のなさ)も縁の切れ目だったりする。



            

           復活祭ですね。どこのお宅にもこんな風に
          卵の飾り付けがあります。春の訪れ。







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