2016年3月28日月曜日

日本では観ることのできない日本発の心の叫び〜フクシマ モナムール



        行ってきました。観てきました。フクシマ モナムール。


       絶対に行くべきです。超おすすめいたします。本当に久々に
      観甲斐のある作品に出会ったと思いました。ドイツ語が
      お分かりにならない方も会話はほとんど簡単な英語で進むので
      大丈夫だと思います。日本語の部分は字幕が出ないところもあって
      我々日本人には超お得!何よりも強調したいのはこの映画は日本では
      観ることができない。おそらく日本語版のDVDも発売されることはない、
      ということです。今、観るべきです。




        原題は「フクシマからこんにちわ(Grüsse aus Fukushima)」
    綾ちゃんはお友達のもとこさんと一緒にSonnnenstr. (カールス門近く)の
    City Kinoに行きました。そのあともとこさんと夜中まで呑んだくれた。





     日本のニュース記事だと福島が舞台のドイツ映画に桃井かおりが
    ちょい役で出たみたいな書きっぷりだった。こういうテーマを日本に
    持ち込みたくない政治意志が透けて見える。でも彼女はロザリー トマスと
    ともにまるまるダブル主役の一人。
    ものすごい演技力だった。昨年89歳でお亡くなりになった釜石最後の芸者、
    故伊藤艶子をモデルとしたというサトミ役。 





     FUKUSHIMAという単語からイメージする悲惨さ、凄惨さはしかし
    実際の映像で見る現在の荒涼たる風景の中にすでにメタファーとなって
    訴えかける。舞台は、そして監督が語りかけたい喪失感は、そこが戦争の
    焼け野原でも地球の終わりでも同じことなのだけれど(そしてそのような
    映画はこれまでに山ほど産み出されてきたけれど)これはやはり
    FUKUSHIMAである特殊性が巧妙に訴える力を持っている。「平和」の国、
    裕福で文化薫るニッポン。その中にぽっかりと映えるブラックホールのような
    場所。全世界の人々がそのことを識っていて当事者国のニッポンだけが
    知らん顔を決め込んでいる。



     そんな黄泉の国への入り口で出逢った二つの傷つける魂のお話でした。



     セリフのひとつひとつに含蓄があって美が内包されていてカットの
    一コマ一コマにはっとさせるきらめきを感じる、とにかく久しぶりに
    出逢った素晴らしい映画でした。





      日本に住んでてロードショーを見れない方はせめてメイキング オブ
     だけでも。庭にある枯れ木は綾ちゃんには故タルコフスキー監督の
     遺作「サクリファイス」を想起させる。





      何度も言います。上映国にお住いのみなさん、絶対に観に行くことを
     おすすめします。




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