2015年11月25日水曜日

時代の証人





初めてドイツに来た頃、綾ちゃんは学生であまりにも周りの人々が
オープンなのにびっくりしてオロオロうろたえたり、こちらでできた
    友人にハグされたりほっぺスリスリされてひゃあって舞い上がったりしてた。



特に、綾ちゃんの大学の一年上の交換留学の先輩がドイツ人の彼氏を作って始終
ベタベタしているのを見たときはショックだった。ドイツ到着一週間目
くらいだったっけ?学部は違うけれど知的でさっぱりしてて姉御肌の
彼女はクールな印象の方で、お家でパーティーしましょうと言われて
やってきたら彼氏の膝に乗るはぶっちゅーと長い抱擁と接吻を衆目をも
顧みず絡みつくはあたし達を呼んだ目的がよく分からない会だった。
もちろん内心羨望の眼差しもチラリと有ったりするわけなんだけど。




あの先輩はあれから日本に帰国して2年後に遠距離恋愛に終止符を打って
お見合い結婚したって聞いた。
今は某大学の教授になってらっしゃる。





ドイツで1年、2年と過ごすうち、誰しも羞恥心なくベタベタしているんじゃないと
わかってきた。特に「良い社会階層」の人たちは私たちと変わらないのだと
気がついた。ああ、自分は自分のまんまでいいんだなとホッとしたものだった。




病院にいらっしゃるお年寄りの方から意外にもこんなコメントを伺った。



『今時のモンはなっとらん!恥ずかしげもなくいちゃいちゃベタベタしおって!
わしらの若い頃のドイツは皆恥じらいというものを持っとった。
あーゆー変な習慣は戦後、駐留軍のロシア兵が持ってきたんじゃ。』


へー、そうだったんだ。時代の証人ってやつだな。
綾ちゃんもさすがにこれだけ長い事こちらに住んでると、来たばかりの人が
ドイツはこんなですって話してるの聞くと、ああ、それはつい4〜5年までは
なかったのにねーって思ったりする事も多くなってきた。
老婆語りの域まであと一歩だな。





こういう落書きって一体いつ誰が描くんだろう?



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