2015年11月24日火曜日

ついていけない




綾ちゃんはプライベートでの羞恥心という意味では(多分?)昔のまんまだ。
こっちでの生活が長いせいで日本の人たちの変化についていけない時もある。
今時の人は日本人でもハグとか平気だったり路上でキスする若者だって
普通になっちゃったからね。



以前(もうずいぶん前だ)、日本人駐在家庭のお子さんが事故でお亡くなりに
なるという事件があり、その頃専業主婦だった綾ちゃんは通訳のお手伝いで小児科病棟に
詰めていたことがある。脳死判定がなされ主治医から移植用臓器検体の説明がなされた。
もうこれ以上手の尽くしようがない、最期の時を決断してくれ
(生命維持装置を外す決断)などと重い通訳をしなければならなかった綾ちゃん。
その場の全員、気が遠くなりそうになっていた頃、私たちの重荷を下ろすように
すうっとそのお子さんの心拍が自然に途切れた。
生命維持装置にも反応しなくなった。




あまりにも突然に訪れた不幸な結末にその場に居合わせた日本人、
ご家族と会社の方々、学校の先生、そして綾ちゃん、
女の人たちは皆、抱き合って泣いていた。



綾ちゃんはボランティアだけど通訳だからまだ仕事が
終わったわけじゃない、泣いちゃあダメだ、とググッと涙をこらえながらも
脳がすっかり痺れてしまい思考力ゼロに陥ってしまった。、、、が
この後に及んでやっぱり別の脳は働いているらしくぼんやり目の前に
広がる風景を間違った部屋に入ってしまった人のようにあっけにとられて見ていた。




なんでハグ???




「抱き合って泣く」という表現で綾ちゃんが思い浮かべるのは
何人かの女性たちが一箇所に集まってめそめそする、その時肩を抱き合ったり
ほっぺをすり寄せたりする行動のことだが
その時は女性同士だが、泣きながら二人で互いをぎゅうっと抱きしめ
背中をさすったりして離れまた別の人のところに行ってぎゅうをするという
いわゆるハグだった。



結局綾ちゃんは西洋人の集団の中でぽつねんと一人浮いている時みたいに
その輪の中に入ることができないという別の意味でのショックも体験した。
(まー大したことじゃないんだけどね。)



これはドイツ人の中に入っていけないショックよりもっと大きなショックです。



ちょっと重い話でしたが昔話でした。







パンプキンパイ焼きましたー!あずき入り。






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