2012年11月29日木曜日

バトル〜猫舌族とのあくなき戦い






       アタマにきていることがある。



           先生のことだ。


 四六時中顔を合わせているとどうしても互いに気になることが出て来るものだ。
一旦治療ともなればすべてを棚上げにしてチームプレーでタグを組む我々だが
(そして仕事人としての彼をこよなく尊敬する私だが)生活の隅々における些事において受け入れられないことがままあるのだ。



           ひとつ。


 先生は猫舌らしい。どうも飲み物だけのようだ。この間一緒に水餃子を食べた時には
ゆであげほやほやのを美味しそうにほおばっていたからね。


 私の毎日のルーティーンの仕事に患者さん用のお茶を湧かすということがある。
ジャスミンティーに薬膳茶をいくつか配合して作るのだがこれがくせもの。
先生用のお茶は別に陶器のポットに淹れている。当然時間が経てば冷めるように。
患者さんにはいつでも熱々のお茶を飲めるようにポットに入れておく。
そのポットのふたを、先生はわざわざ待合室を通る度に開けて行くのだ!
ほっとけ!他人のは!!
次に私が通りかかるとあわてて閉める。また先生が開ける。私が閉める。
このようにして一日中ふたの開け閉めバトルは繰り返されるのであった。
(室温のお茶もミネラルウォーターも別途用意してあります!)



 この問題に関して先生と議論したことは一度もない。「冷戦」状態だ。




先生(患者さんに向かって私の目の前で)
       『いや〜、お茶は熱すぎると飲めないからねえ。』

私(患者さんと談話でやっぱり先生の目の前で)
       『やっぱりお茶の醍醐味は熱々のところをいただくことですよねえ。』



いつまで続くか、この戦い。





 ところがドイツの短い夏が過ぎてからずっと続いていたこの戦いに参戦した奴がいる。



 名前を仮にパーシーとしよう。患者だ。40歳くらい。彼は「あの世の存在を信じる彼女」で紹介したガルミッシュのおばあちゃんの実の息子だ。
品の良いおばあちゃんの息子がどうしてこうなるのかわからない「変わった」奴だ。
(あるいは父親の血か?)
彼はマッサージオイルを人肌に暖めただけで大騒ぎして嫌がる。診察室の隅っこの
ほこりを拾い上げ、「オマエのところの掃除夫はめくらか!」と騒ぎ立てる。
鍼治療の最中、15分以上一人にさせると「オレのこと忘れただろうと!」と
呼び鈴を鳴らしまくる。(鍼治療は40分ですってば!)


 このパーシーが最近、ちょっと私が目を離した隙にポットのお茶を陶製の茶器に
わざわざ移し替えるという「親切運動」を開始した。漢方薬をその場で作って飲ませるために陶製のポットが待合室に並べてあるのだ。



 ここまでされると打つ手はない。多勢に無勢だ。




 これまでのところ圧倒的にわたしは不利だ。



 ふん、負けるもんか。







 

   

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