2012年11月6日火曜日

メルヘンおばさん ③




    『ワタシノテンシサン。アナタノメルヘンガキキタイ。』



 彼女ははししと私の手を握ってそう言った。
えっ?メルヘン??ええっと、じゃあね。

私     『パンツエルさん、日本語がおわかりになるなら
      私の息子の名前を教えてあげましょう。うちの子はね
      太郎って言うんです。どうしてだかわかりますか?
      太郎って言う名前は日本の昔のおとぎ話にたくさん
      出てくるんですよ。
       
       じゃあ今日は日本のおとぎばなしをしましょう。
      浦島太郎という話です。


      〜むかしむかしあるところに浦島太郎という若者が
       いました。』



 私、一生懸命ドイツ語で浦島太郎の物語をしました。
助けた亀に連れられて竜宮城へ来てみれば、、、気がつくと
鍼を打っている先生まで熱心に耳を傾けている。だから、
手を止めないで早く済ませちゃってくださいってば!



 結局、乙姫様に玉手箱を開けてはいけない、と言われる
くだりにさしかかったところで鍼を打ち終えました。


先生     『で、いつまで開けちゃいけないの?』
私      『ず〜っとです。また竜宮城へ遊びに来たいなら
       ずっと決して開けちゃいけないんです。』



 結局、次回のお楽しみにするには物語が進みすぎていたので
最後までお話をするはめになりました。


私      『パンツエルさん、これでおしまいですよ。
       鍼もおしまいです。頑張りましたね。』
パンツエルさん『えっ、もうおしまい?本当に何も感じなかったわ。
       素晴らしい、ああ、これでもう鍼を打つのも
       不安じゃないわ。私の天使さん、次回もお願いね。』





 次回かあ。次はやっぱり桃太郎かなあ。これはちょっと難しいぞ。
『きじ』だとか『きびだんご』だとかどう訳す??



 悩みは深いがとにかくパンツエルさんとは大の仲良しになれました。


 めでたしめでたし。
 




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