2016年9月20日火曜日

バス内の情景  なんでそうなる?



前日ほとんど睡眠をとっていなかった綾ちゃんは席に座るやいなや
熟睡していたので、事態を把握するのに時間がかかった。


なんだかバスは(出発したのは間違いないのに)動いていないし
乗客も殺気立ってる。



ミステリー好きの綾ちゃんの頭にまず去来したのは「バスジャック」の
一文字。ぼやけたアタマに宮部みゆきの「ペテロの葬列」のワンシーンが
よぎったがすぐに消えた。あれは名作だと思うけどバスジャックのシーン自体は
別の緊迫感だ。次に本物のバスジャック事件、福岡の西鉄バス事件
思い出した。確かあの事件では眠りこけてた男性が最初に殺されたんだっけ。



ガバッと起きた。



ぼーっとしたアタマで、しかし徐々に綾ちゃんは事態を把握しつつあった。
そうか。バスジャックじゃなくて無賃乗車だ。
あれれ、綾ちゃん、このおっちゃんをさっき見たぞ。
綾ちゃんがバスに乗り込む際(出発時間の30分以上前)綾ちゃんの前に
立ってたおっちゃんじゃないか。係りのお兄ちゃんが彼に乗車券の提示を求めた
ところ、すーっと脇に逸れた。ワシ、付き添いよ的な雰囲気で。
なんか変に思ってそれで覚えてたんだ。こいつ、やっぱりタダ乗り野郎だったんだ。




綾ちゃんが上階のFlixbusのチケット売り場を通りかかった時、確かに長蛇の列で
30分以内に乗車券を購入できるかどうかは微妙だったかもしれない。
だがそれがどうした!バスは1時間に一本。次のに乗ればいいだろう。
そもそも支払う気があるなら乗車の際にその旨交渉するはずだ。
摘発されるまで黙っていたというのは確信犯の証左だ。
おい、タダ乗り野郎はすぐに追い出せ。



ところが全体の議論はあにはからんや、妙な方向に向かっていた。
運転手が「交渉」したからだ。「50ユーロ」出せと。
タダ乗り野郎はそれに対して怒り激論していた。自分は30ユーロしか
持ち金がないと。



そして大勢の乗客はタダ乗りのおっちゃんに加勢して加熱していた。



なんでそうなるんだ???



プラハ カレル橋はお祭りでもやっているかのような人出でした。




0 件のコメント:

コメントを投稿