2013年5月12日日曜日

南の島から来た彼女  22



    それがきっかけになってドクターは今回のリノベーションの件を
   積極的にホーノルさんに相談するようになった。



 今度はそれはそれでホーノルさんに頼り過ぎって感じだったけれど(なんといっても
彼女は素人だ。)南の島のペンション経営者として知る限りの情報や意見を分けて
くださった。彼女は会社勤めの経験もお持ちで、私と二人だけの時にはそういう
苦労話も口にした。彼女の会社はいわゆる叩き上げのワンマン社長の経営する中小企業で
彼自身の「腕」は良かったんだけど功名心が強くて大企業なんかからウマい話が来ると
後先考えずに(利用されてるとも気がつかず)飛びついちゃう悪い癖があって(あれ?
その話、うちと似てる?)結局、誰にも相談せずに勝手に一流企業と専属契約を結んだ後すぐに利用されるだけされてあとはポイ捨てでつぶれちゃったんだって。5人くらいしか社員のいない零細企業だったのに事の次第を正確に把握してる人は社長以外誰もいなくてつぶれるときはびっくりするくらいあっけなく倒産しちゃったって。でも失業しちゃったおかげ(?)でゆっくり時間が取れたので骨休めにコスタリカ島にヴァカンスに行って、同じくミュンヒェンから旅行に来ていたダンナさんと識りあって結婚して永住しちゃった訳だから人生何が起こるかわからない。



 まあ、とにかく、彼女が言いたかった事は企業だろうが病院だろうがたどる経緯は
似たものだって事。私は昔、日本の大企業で働いていたことがある。日本人なら誰でも
知っている有名企業だ。その頃感じた事、問題だと思っていた事は、今現在、
私が直面している「問題点」とは根本的に、そして本質的に異なっていると思う。
私が普段尊敬し敬愛している先生は、しかし経営者としては、ずぶの素人で頼りなく
しかも弱々しい存在なのだという事がだんだんと見えてきた、ということだ。


(つづく)



              トルトゥゲーロ国立公園





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