2013年5月5日日曜日

南の島から来た彼女  ⑮



      『私には無理よ。私はずっと学者生活だったんだし
      ここでも私の仕事は薬草管理と会計で今は忙しいときと
      吉岡さんがいない時にピンチヒッターで受付に座っている
      だけなんですもの。』



 奥様は泣きながらおっしゃった。リードさんは高圧的に私たちに接客応対の
マニュアル通りに対応する事を求めた。にこにこ笑って相手の目を見て一問一答
マニュアルに沿って受け答えしなければならない。発音がダメ、イントネーションも
おかしい、目が笑っていない、などと次から次に奥様を責め立てた。エレベーターガールとか(日本には今でもいるのだろうか?)ホステスとか(日本語のホステスって本来の
意味からずいぶん離れてるけど)みたいになれってことみたい。


 リードさんが奥様をあんまり責め立てるから(ドクターまでおい、もっとちゃんとやれ的な態度で誰も彼女を助けようとしない)さすがの私もふだんのちんとしてる態度を
なげうって応戦に出た。


私『ちょっと、いくらなんでもそれは言い過ぎじゃあないですか。誰だって得手不得手
 はあるわけだからいきなりそんなに責めたって急に上手くなんかなれないですよ。
 こんなトレーニングしなくったって奥様はとっても接客上手だし(ある意味私より
 ずっとお上手)苦手なところはいかにもチャイニーズらしい印象を与えて
 素敵なんですよ。どっちにしても泣かせるまで責めるなんて間違ってます!』




 吉岡爆発火山と相成りとりあえずこのテーマはあと自習ということになった。



 ちなみにここで私が怒って奥様をかばった事がきっかけで以後、奥様は私の事を
とても大切に想ってくださって現在に至っている。



(つづく)





           コスタリカ料理ガラスに盛りつけられているのが
           魚介のマリネ。中央が主食「ガジャピント」お米と豆の煮込み。
           手前がトルティージャ。


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