2013年5月6日月曜日

南の島から来た彼女  ⑯




         二度目の中断に至っては喜劇そのもの。



 お昼ごはんのあと(私がお家から手まり寿司、ポテトサラダ、春雨サラダを
作って持ってきた。あと中華の店屋物を取って豪華昼食。)ドクターがお嬢さんの
愚痴を言い始めた。医学部志望のお嬢さんも後学のため参加していたのだ。16歳。



先生『全くうちの娘は毎朝登校前最低30分は化粧室にこもって化粧に精を出して
  るんだ。30分といっても最低だよ。若い娘がてかてか化粧になんぞうつつを
  抜かしてニキビを隠すのにやっきになっとるんだ。毎日そんな事に時間を浪費する
  暇があったら野菜をもっと食べて運動でもすりゃあいいんだ。そうすりゃあ
  便秘も治る。』



          その瞬間、場の空気が変わった。



お嬢さん『便秘だなんて、私がそんな事になったりしている訳ないじゃないの。
    パパったら医者のくせに娘の体調一つ解らないなんて!
    だから私は具合が悪くなったって絶対パパにはかからないのよ!!!』


 そう言い捨てると彼女はわっと泣き出して台所へ入って中からとおせんぼをした。




 その時にはすっかり自分は泣き止んで気分も直っていた奥様がため息をつきながら
おっしゃった。


奥様『全くうちの主人ったら、「打ってはあやまる」の繰り返しだわ。自分が医者な
  もんだから患者さん相手に何でも質問するのに慣れてて女の子の恥じらいってのが
  わかってないのよ。みんなの前で、この娘は便秘ですって紹介される方の気持ちは
  さっぱりわからないんだから。』



      そう、本当の事は決して本人の前で明かしてはならない。
     他人がいるならなおさらだ。


 お嬢さんは30分ほど台所に居座った後、あろうことかトイレに河岸を変え(!)
また30分ほど滞在しドクターに謝罪を重ねさせた。



 そう、馬鹿みたいで、はた迷惑な話だ。


(つづく)


        手まり寿司は簡単で豪華っぽく見えるので良く作ります。




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