2014年5月1日木曜日

治療失敗談~うつ病編

       



         随分以前のことだがこんなことがあった。



         「鬱」の患者さんが来院。確か二度目の治療だったと記憶している。
  患者さんは問診の際に必要なことはドクターに伝えてあるはずだが、
  それ以外のちょっとした会話に治癒へのヒントが隠されていることも多い。
  綾ちゃんは普段からドクターに、とにかく患者さんとの会話を大切にすること、
  と言い含められている。
         中でもうつ病の患者さんとの会話には気を使う。健常者には想像出来ない苦しみを
  背負ってらっしゃるはず。相手の立場をアクセプト、アクセプト。
  引きずられてもいけない。アンコンディショナル ワーム。このさじ加減は
  いつまでたっても難しい。



   綾ちゃん、患者さんにお茶を出しながらお加減は?と尋ねると



           患者さん『何にもする気力が起きないんです。毎日が絶望の日々で。』



      綾ちゃん『まあ、それはお辛いですね。』




   、、、とそこまで言ったとき、玄関のドアが開いてドクターの奥様が入ってらした。
ああ、交代時間だ。綾ちゃんの勤務時間は過ぎている。もうお家に帰らなくっちゃね。


      奥様も患者さんにご挨拶。お元気ですか?と尋ねると先ほどと同じ受け答えを
なさった。何にもする気が起きなくって、って。すると奥様すかさず、


          『ええ~?今日はこんなにお天気いいんだから散歩でもしてくればいいですよ。
友達とパーティーして楽しく過ごすとか、スポーツして身体を動かすとかすれば
いいじゃないですか!そしたらすぐに気分良くなりますよ。』



いや、そんなことで改善するくらいなら高いお金払ってうちに治療になんて来ないって。



    うちのドクターもたいがい変わったキャラだがこの奥様も「天然」だ。とにかく
思ったことを「包み隠さず」口に出す。絶対ウソをつかない、つけないタイプだから
綾ちゃんはすごく信用しているがたまにこんな風に墓穴を掘ることがある。


     薬学博士でいらっしゃるので基本、医薬には詳しいが病理学はご存じない。



      患者さんはいきなり自分のことをナマケモノ呼ばわりされて明らかにショックを
受けていた。やば。


  案の定、そのあともう来なくなってしまった。ドクターがこのシチュエーションを
見ていたらあとで大喧嘩になったであろうことは間違いない。



     患者さんを責める言葉は基本、タブーなんだけど、難しいもんだ。正解なんて
どこにもないし。奥様の失敗談を紹介してしまったけれど綾ちゃんも色々
「滑る」ことがある。自分の過ちはなかなか自分で気付かないもんなあ。



綾ちゃんちのすぐ近所
桜と見間違うほどの満開だが
リンゴの花



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