2013年9月20日金曜日

ドイツ文学講義  えええ?




     『あの、どういったことを御知りになりたいのでしょうか?』





 おそるおそる尋ねてみた。




ドクター 『うん。全部。詩とかね。例えば。以前、ゲーテの「ファウスト」を
     読んでみようとしたんだけど難しくてすぐに匙を投げちゃったんだ。
     あんまり難しくて長いものはダメだなって思ったから。』



 ううん、あまりにも茫洋としているな。でも、せっかくドイツに何十年も住んでいるん
だからもっと良くその文化を識りたいって思ってらっしゃる、そのお気持ちを
大切にしてあげたい。私には無理ですって固辞するのは簡単だけど先生より私の方が
いくぶん知識があることは確かな訳だから知っていることは分け合ってもいいん
じゃないかな。


私    『じゃあ、まずはちょっとだけ詩を見てみましょうか?」



 今はとっても便利な時代。YouTubeでシューベルトの歌曲をいくつか出してみた。
もちろん歌詞付きのヤツ。ドクターに向かってエラそうにお話するなんて、って
赤面しながらも自分なりの蘊蓄(うんちく)を傾ける。



私    『先生は李白や杜甫など中国の詩歌を堪能なさるときにいつも墨と筆で
     写してらっしゃるでしょう。文学は言葉の美しさを楽しむものですから
     まずは音読。または書き写す。これに尽きると思います。でもいきなりは
     取っ付きにくいし、何から始めればいいかわからないからとりあえず
     歌曲から始めてはいかがでしょう。メロディーにのせて口ずさむのは
     ひとつひとつの単語の響きと言葉の奏でる情景が頭に浮かぶための
     とてもいいやり方だと思いますよ。ロマンチックの時代などは単語も
     簡単ですよ。』



 知識とか思想とか、そういうのはあとでいいよね。まずは楽しむことが大切。



           綾ちゃん流文学講義、奥義その一でした。





                                シューベルト「さすらい人」詞 シュミット フォン リューベック               歌 フィッシャー ディスカウ





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