2014年3月20日木曜日

男と男の物語 三






        もう一人、うちの会社の古株でドイツ人男性がいた。




 ゲンちゃん、というのが彼のあだ名だった。名字にゲン(Gen)の字が入って
いたせいだ。彼自身は日本語が出来なかったけどこのニックネームは彼の
お気に入りで同僚からも上司からも顧客からもこの愛称で親しまれていたっけ。




 あるときアルバイトにきた日本人主婦の人が彼を一目見て




       『C3POだわ。』



と言った。綾ちゃんはスターウオーズを見たことがなかったのに
それが何を指すのかすぐに解っておかしくて悶絶したものだ。



           

C3PO とR2D2


それほどそっくりだった。
ひょろひょろの体格、すべるような(?)歩き方
薄い金髪でしゃべり方もどことなく機械っぽかった。




彼は気のいいヤツでみんなに愛されていたけれど
ホモセクシュアルであることは公然の事実だった。
もちろん綾ちゃんがそういったことを知ったのは
入社後何ヶ月もたってからだ。



ある日のこと、その日は金曜日で会社が終わってから
どこかへ週末旅行に出かけるとかで18時なると
彼の「恋人」の男性がゲンちゃんをお迎えに来た。



その恋人の人もだいたい似た様な感じのC3POで(???)
二人はおおっといきなり抱き合ってちゅうっと軽〜くキスした。
ちょっと待っててね、すぐに片付けるからってゲンちゃんが相方を側に待たせて
数分後、二人は腰のとこに腕を回して
「じゃ、皆さん、良い週末を」と言い捨てて
出て行った。




立派なもんだ。




日本人は男女のカップルでさえこそこそお付き合いしてる
ケースが多いのに。





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