2014年3月28日金曜日

男と男の物語 八

   


          突然綾ちゃんを貫いた雷(いかづち)はその雷鳴を頭の奥深くにとどろかせ
   繰り返し綾ちゃんに、ある「確信」を告げ続けている。



                       二人は恋人だ。


          そして綾ちゃんはこの二日間、彼らにとってデートのカモフラージュ役を
   演じてきたにすぎないのだ、と。



      あれから20年の月日が経った今でも綾ちゃんはあの日の情景とあの日の衝撃を
 忘れることができない。


      実は今回この事件を物語るにあたって古い記憶を掘り起こし、吟味する作業に
よって分析出来たことがある。綾ちゃんは自分でもずっとわからないままでいた。
何故、私はそう思ったのだろうかって。他にいくらでもあの情景を説明出来る解釈は
存在するのだ。男同士で飲み直すとか荷物を取りに行くとかバースが別の用事で
その方向に向かったとか単なる「ノリ」でそっちの方向に向かっただけとか、
とにかく何でもアリだ。
しかもその時点で綾ちゃんはミヒャエルのこともゲンちゃんのことも
よく知らなかった。ミヒャエルのことを書いたページで「初めてその種の人に
出逢った」と書いたがよく考えたらTさんの方が先だ。一体何人いるんだ、この会社。

 ドイツで暮らすということがすなわちその類いの人々との出逢いを伴う体験となるなど思いもよらなかった頃だ。




        しかしそれは単なる「思いつき」を越えた理解だった。100パーセントを上回る
 確信だ。それほどの確信を持つに至る根拠はこの二日間彼らと共に過ごした
「時間」の中にある。



          彼らには「男の人」のニオイが無かったからだ。




         綾ちゃんは比較的男友達が多い方だ。そして男女間の友情というのは必ず、
ある一定のルールを伴う。これはいかなる状況でも変わらない。
男と女の間には、それが同性同士の場合には生まれない、ある「磁場」が存在しそこを
無意識のうちに計りながらコミュニケーションしなければならない。それは相手が
「枯れた」おじいさんでも未成年の若者でも親子でも師弟でも上司でもガイジンでも
すべからく。このルールが破られたとき友情も終わる。例外はない、、、はずなのに
Tさんとバースには全く「その」気配を感じなかったのだ。




               

初めてテレビではるな愛さんを見たときは可愛くてびっくりした。




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