2013年12月13日金曜日

新しい同僚 その十二







             綾ちゃんの治療のお時間。おお、何と贅沢!事前に病院がおヒマな時間帯を選んでいるとはいえドクター自ら全行程を行って下さる。中医学における綾ちゃんの診断は肺気滞ということだ。う~ん、イイ気でゼクトなんか飲んでたからね。アルコール禁止令だな。こりゃ。




        が、治療は結構痛い。皮膚が敏感になっているせいもあるけどね。小さい剣山をひっくり返したのが先端についている小さなハンマーのようなもので膝の裏、それから頭頂部を叩く。アイタアア~!!血が滲んできたら(!)すかさずそこに吸玉を施す。一種のしゃ血だね。

  

           足の指圧もしてもらう。今日はただ、ひたすら両足の湧泉の部分をぐいぐい押される。なんとなく気安い心持ちがして私はドクターに話しかける。






綾ちゃん         『リリーさんって医学部を卒業なさってドイツ語もあんなにペラペラなんですから将来は自然療法士としてやっていくおつもりなんでしょうかね。お若いし。』










    するとドクターは意外なことを言い出した。






ドクター       『彼女の知識と能力から言えば或いは資格は取れるかもしれないね。だけど駄目だよ。彼女には。人を治療するということをあの娘は完全に勘違いしている。数年前、うちでバイトしてた時から何の進歩も無いんで、ああ、やっぱり、と思ってがっかりしているところなんだ。そう、彼女には誰かの病気を治すなんてことはできないよ。』











これはこれは、随分辛口なお言葉。そんなにひどいのかな?パッと見た目には患者さんに対してはにこやかに丁寧に接しているように見えるけどな。大体、ドクターがこんなにネガティブなコメントをすることはとっても珍しいんだよ。










         とにかく、綾ちゃんの病欠以来、なんらかの空気が変わってしまったことは間違いない。







       

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