2013年12月20日金曜日

新しい同僚 その十八




           ようやく「例の件」の話題を綾ちゃんがドクターに尋ねたのは翌週、職場復帰してからだった。どうも私としては、リリーさんが私の施術をするのしないので揉めたのではないのかという疑念を拭いきれずドクターに向かって直接切り出せずにいたのだ。





             その日は、前の週の件の日と同じように、朝のひとときだけポツンと時間が空白で後はうじゃうじゃ患者さんが来るという日だった。やっぱり先週と同じように、朝食をお相伴することになり、より一層状況が似てきた。聞くなら今だね。







綾ちゃん    『あのお~,もし伺ってもよければなんですけど、この間、リリーさん、一体何を怒ってあんなに喚き散らしてらしたんですか?あの時先生は彼女に私の指圧をさせようとなさってその後すぐにああいう事態になったので、もしかして私の施術をするのが厭で腹を立てたのかな、と思ってちょっと気にしてるんです。』








私がそういうと、それはないない、とあっさり否定したあとこんな風に説明した。





ドクター     『彼女はね、お金のことで腹を立てたんだよ。ばかばかしい。彼女が450ユーロのミニジョブを希望していたのは知っているだろう?今月はたくさん働いてもらったから彼女の労働時間数×時給は450どころか1000もはるかに越えちゃったのさ。もちろんうちとしては普通のやり方で支払うつもりでいたんだ。その旨税理士さんにも彼女のデータを送っておいたからね。そしたら彼女はそんなのおかしい、自分は余計な出費は1ユーロたりともしたくないっていうんだ。で、税理士を通さずに私から税金を引かない額を直接くれるのでなければこれ以上一秒でも働くのは嫌だっていうんだね。』





彼女が望んでいるのはドイツ語でいうところのシュヴァルツアルバイト(黒い労働=違法労働)だ。ええ~?そんな「下らない」ことであんなに大騒ぎしてたんだ~!!







              綾ちゃんは心底驚いた。




             

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