2013年12月14日土曜日

新しい同僚 その十三





              次の週、「患者」として出来る限り毎日通った。病院は連日商売繁盛で空いてる時間帯を見つけるのが難しいほどだったけれど、そういう日には鍼を打ってもらうだけにとどめたりして過ごした。リリーさんはまめまめしく働いていたから特に何か心配しなければならないことはなさそうだった。




            そんな日々を過ごしていた時のことだ。その日は朝一番の時間帯が空いていたので綾ちゃんがそこに予約を入れた。リリーさんが来るのはどうせ9時以降だから、お茶を淹れたりとか朝の準備を手伝えるしね。8時ちょっと前に自分の合鍵で病院を開け、勝手に仕事の準備をしてたらドクターがやって来て、予想通りに(!)朝御飯のお相伴をすることになり(綾ちゃんはこれを見越して朝食をとらずにいた)一息ついたところで治療をしてもらうことになった。そう、一、二週間休んだってそんなテンポが急に変わる訳もない。今日一番の患者さんは9時半からでまだ余裕がある。まあ、その後は超満員であっぷあっぷだけどね。









            『じゃあ今日は足の指圧からね。』







        そう言われて贅沢な時間の流れに身を委ねようとする綾ちゃん。









         ちょうどその時、9時直前でリリーさんがやって来た。するとドクターがふと思い付いた顔で、








                『いい機会だからリリーさんの指圧、受けてみる?』







とおっしゃった。おおそれは本当にナイスアイデア!後輩の指導をするのはすごくセンシティブで難しいんだ。特に相手がキャリアを持ってたりプライド高そうな感じだとね。でも今のこの関係ならキビシイ「患者」として「ご意見」出来るもんね。






             『それは願ってもいないチャンスです。是非お願い出来ますか?』







       するとドクター、








               『よし、わかった、じゃあ連れて来るからちょっと待っててね。』







そうおっしゃって部屋を出て行った。








                 そうして、それからずいぶんと長い間彼は戻っては来なかった。




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